イチゴの葉が黒くなる!斑点ができる病気【炭疽病】原因と対策
長い冬を越し、春になってやっと花が咲きあとはイチゴの実がなるのを待つだけの頃、葉の淵などに黒い線や斑点が出たり、ひどくなると葉の付け根である葉柄(ようへい)や、新しい子株をつけるランナーまで黒くなる症状が表れることがあります。
このようなイチゴの葉が黒くなる原因は炭疽病(たんそびょう)と呼ばれる病気です。
この記事では比較的よくあるこのイチゴ炭疽病について症状や原因、対処法、病気にかかる前の対策方法まで詳しく解説します。
もくじ(タッチすると移動します)
炭疽病(たんそびょう)の症状
まず、症状としては以下のような状態が表れます。
- 葉に黒い線や斑点が出る
- 葉裏にも黒い線がにじんで見える
- 葉の付け根(葉柄)が茶、黒くなる
- ランナーが茶、黒くなって折れる(溶ける)
葉に黒い線や斑点が出る
こちらは茶色い斑点がうっすらと出始めたところです。
葉の淵にはハッキリと黒い斑点が発生しています。
伝染する範囲が広がってきました。
葉裏にも黒い線がにじんで見える
葉の裏側を見ても感染しているのがわかりますね。
葉の付け根(葉柄)が茶、黒くなる
葉の付け根である葉柄(ようへい)と呼ばれる部分もバナナが熟したときのように、茶褐色になってきました。
だんだん酷くなると茶褐色から黒色に変わってきます。
ランナーが茶、黒くなって折れる(溶ける)
ランナーと呼ばれる親株の中心から出る子株ができるツルも黒くなってきます。
最初は所々に斑点が出ますが、悪化すると真っ黒くなり溶けるように折れます。
炭疽病に罹患(りかん)した時期
イチゴが炭疽病にかかってしまったのは3月後半~4月上旬の間です。
原因である真菌(カビ)が活発になるのは気温が上昇する時期になります。
ご覧の通り、処分したイチゴ苗の向こう側にチューリップが咲き始めていますね。。
実が成るまであともう少しだったのですが、、、
炭疽病(たんそびょう)の原因
直接的な原因は植物炭疽病菌であるColletotrichum orbiculareという真菌(カビ)です。
ちなみにかつて生物化学兵器として注目された人や家畜に感染する“炭疽病”の病原細菌 Bacillus anthracisとは全く別物であり、植物炭疽病菌はかかった植物を触っても人に感染しないので安心して下さい。
さて、なぜこの真菌が発生してしまうのか?というと3つの要因があります。
- 前年に既にかかっていた親株が感染(ランナーで増やした子株も伝染)
- もともと土の中に植物炭疽病菌がいた
- 購入した苗がたまたま感染していた
炭疽病の症状が表れた時に考えられるのは上記の3つですが、1番目は去年から栽培していた株をそのまま今年も育てていた場合や、ランナーから増やして子株を育てた場合が該当します。
最も多いであろう理由は2番目の、もともと栽培する場所の土中に植物炭疽病菌がいて、冬期に休眠していた菌が春、気温が上がってきたところで活発になり、株に感染したケース。
そして、3番目は土中に植物炭疽病菌がいないにも関わらず症状が表れた場合、感染した苗を知らずに購入してしまったケースです。
植物炭疽病菌は発育適温が28℃前後と高く、高温多湿下で発生しやすいと言われています。
対処方法
残念ですが、イチゴに炭疽病の症状を発見したら即、畑やプランターから株ごと抜いて処分して下さい。
上写真にはイチゴの花が咲いていますが、泣く泣く処分しました。
症状のある葉だけ取り除いても、すでに株ごと感染してしまっているため今年は諦めて下さい。
よく、焼却処分をして捨てて下さいとありますが、あれは畑などで抜いたまま放置しておくとそこから、他の株や周囲の野菜にも伝染してしまうため、完全に病原菌を除去しなければならないからです。
枯れ葉にも胞子は残っています。
ですので、一番手っ取り早いのは、株ごと抜いたらビニール袋に入れて即捨てて下さい。
病気になる前に行う対策
- 高温多湿環境下で栽培しない
- 密植をしない
- 葉かき作業をして風通しを良くする
- 泥はね防止!マルチ張り、敷き藁をする
- 雨よけ・トンネル栽培をする
- 炭疽病になりにくい品種「宝交早生」を栽培する
高温多湿環境下で栽培しない
高温多湿の環境によって炭疽病が発生しやすいことはわかっています。
ただ、日本で屋外でイチゴを栽培する場合、どうしても高温多湿になります。
ですので、最大限以下で説明する密植を避ける等、排水性がいい土、場所で風通しの良い環境下で栽培することを心掛けましょう。
密植をしない
そのためまずは、密植にならないように隣や前後の株と株の間は最低30㎝程度あけて植えると良いです。
おそらく植え付け時は苗が小さいため、たくさん植えても大丈夫な気がしますが、成長とともに株も横に大きくなるため、正しく距離をとって植えましょう。
葉かき作業をして風通しを良くする
以下の写真は完全にダメな例!
イチゴの苗と苗の間隔が狭く密植状態になっています。
そのため病気が発生しやすいです。
「葉かき」といって少し密集している葉を間引いて、株全体を風通しよくしてあげることも大切です。
泥はね防止!マルチ張り、敷き藁をする
イチゴは背丈があまり伸びない野菜のため、地面に近く雨が降ると泥がはねたりします。
そのため黒いビニールマルチを張って栽培することはもちろんのこと、敷き藁といってイチゴ栽培に使う専用のワラを春先に敷くことをおすすめします。
※ただし、今回私はマルチを張って敷き藁を敷いて栽培しましたが、上写真右側に植わっている「カレンベリー」が炭疽病にかかり処分することになりました。
ですので、これらの作業をしたからといって防げるわけではありません。
雨よけ・トンネル栽培をする
プランター栽培では、なるべく雨に濡れないように株の上にビニール傘をさして雨よけ栽培をしたり、畑でたくさん苗を植えた場合はビニール製のトンネルを張るトンネル栽培をし雨を防ぎます。
雨に濡れない工夫をすることで炭疽病の発生を抑えられるからです。
炭疽病になりにくい品種「宝交早生」を栽培する
初心者は「宝交早生」のように炭疽病やうどんこ病に強い品種を育てることをおすすめします。
私も「宝交早生」と「カレンベリー」を隣同士で栽培し、「カレンベリー」は炭疽病にかかりましたが「宝交早生」はそのままの状態でたくさんの赤い実を付けました。
近くにあっても炭疽病に感染しないほど強い「宝交早生」は、初心者には最適です。
まとめ
私も秋から苗を栽培し始め、冬を越し、やっと3月の後半になって株が充実し、花芽が付き始めたところで炭疽病に罹ったことに気付きとてもショックでした。
おそらく、初心者の人ほど密集させて植えていることが多いため、炭疽病の被害に遭うケースも多いと思います。
そして、症状の出ている葉だけ取り除いてなんとか栽培したいと考えていると思いますが、隣で育てている株や周囲で栽培している他の野菜にも伝染してしまうので、心苦しい気持ちはよくわかりますが、すぐに処分しましょう。
できれば植えていた土にも植物炭疽病菌がいる可能性が極めて高いため、真夏に太陽熱消毒をして土ごと殺菌するか、思い切って土ごと処分するなどした方が良いです。
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