ローズマリーの挿し木方法!水挿しと失敗なく根が出るやり方
ローズマリーは料理にも使うことができ、とにかくハーブ栽培初心者がはじめて育てるのにはおすすめのバーブですが、なぜか挿し木は失敗してしまうというご相談をよく受けます。
そこで、今回はまず、あなたがローズマリーの挿し木に失敗する理由を解説し次に実際に私がローズマリーの挿し木を実践した実験結果をもとに「絶対に成功するローズマリーの正しい挿し木の方法」をご紹介します。
もくじ(タッチすると移動します)
挿し木に失敗する理由
時期が間違っている
まず、あなたが挿し木に失敗する理由の1つに挿し木に適していない時期に行っている可能性が考えられます。挿し木に向いている時期は5月~6月と9~10月です。
ローズマリーが育つのに最も適している気温(生育適温)は20~25℃なので下の図を見てもらうとわかるように真夏を避けた5~6月と9~10月の気温(東京)に合致します。
7月8月は最高気温が高くなり過ぎるので挿し木には不向きな時期です。
なぜこの時期なのかというと、挿し木というのは根のない状態の茎から根を出させる行為なので植物にとってはエネルギーがいります。
そのためその植物が育つのに最も適している気温(生育適温)の時期に行えば性質として根が出やすいんですね。
栽培場所が間違っている
2月の寒い時期に屋外にある鉢で挿し木をしていませんか?繰り返しますがローズマリーが生育するのに最も適している気温は20~25℃です。
さらにエアコンの室外機の前やベランダなど、挿し穂に風が当たり続ける場所や1日中、直射日光がガンガン当たる場所、室内であれば冷房・暖房の側(風+冷たすぎ、暑すぎ)はダメです。
挿し木に適している場所は直射日光が当たらない明るい日陰、室内であれば日の当たる部屋の窓辺、レースのカーテン越しです。
用土が間違っている
いわゆる基本的に「培養土」は挿し木をするのに向いていません。
挿し木をする際の注意点として「雑菌」に気を付けることです。
挿し穂(挿し木をするために切り取った若枝)の切り口から雑菌が茎の中に侵入してしまうと、腐ってしまったり枯れてしまうからです。
よく挿し木には栄養分(=肥料)の含まれている土はNGと言われていますが特に有機質肥料には微生物や雑菌がいますし、栄養分があるということは当然雑菌も繁殖しやすくなるからです。
また古い土にも雑菌が多くいるためNGです。
したがって新しい栄養分のない土が挿し木に適した土になります。
一番おすすめなのがバーミュキュライトです。バーミュキュライトはひる石の原鉱石を800℃ほどで加熱風化処理し、10倍以上に膨張させたもので「無菌」なのが特徴です。
水のやり過ぎ
挿し木に失敗するケースの多くが水のやり過ぎによるものです。
よく根が付くまで土を乾かさないように!という注意書きを見かけますがそれは間違いです。
「乾かさないように」というと毎日水を与え常に土が水で湿った状態だと思いがちですが、そうではなくこれは「過乾燥にするな」という意味です。
しかし、通常挿し木をしてローズマリーを増やしたい!と思っている人が水やりに全く無関心ということはなく、あげなくてもいいと言ってもあげてしまう人がほとんどです。
なぜ、水やり過ぎるとダメなのかというと植物は水を求めて根を伸ばしていく性質があります。
しかし、常に土が湿っていると根は敢えて水を求めて伸ばす必要がありませんし水中植物ではないので窒息してしまうんですね。
だから「根腐れ」といって腐ってしまうんです。
挿し木の正しい水やりのタイミングは以下実験の条件下では3日に1回でした。
挿し木の実験概要
目的:8つの条件下でどれが一番発根しやすいのかを検証時期:2016年2月17日~3月16日(1ヶ月間)
置き場所:室内(日中、日の当たるガラス越し)
室温:平均24~25℃
湿度:平均50~60%
【挿し穂の条件】
①ロックウール(水のみ)
②ロックウール(水+活力剤メネデール)
③バーミュキュライト(水のみ)
④バーミュキュライト(発根促進剤ルートン付着)
⑤培養土(水のみ)
⑥培養土(発根促進剤ルートン付着)
⑦水挿し(水のみ)
⑧水挿し(水+活力剤メネデール)
【2月17日】 実験スタート
写真の各番号は挿し穂の条件①~⑧と符合します。
【3月16日】 1ヶ月後
①ロックウール(水のみ)
②ロックウール(水+活力剤メネデール)
③バーミュキュライト(水のみ)
④バーミュキュライト(発根促進剤ルートン付着)
植物活力素メネデール 200ml |
実験結果
挿し穂の条件 | 発根しやすさ | 特徴 |
①ロックウール(水のみ) | ○ | 無菌状態。根は出るが伸びが短い |
②ロックウール(水+活力剤メネデール) | ○ | 無菌状態。根は出るが伸びが短い |
③バーミュキュライト(水のみ) | ◎ | 白根が多く出る。土への移植も容易 |
④バーミュキュライト(発根促進剤ルートン付着) | ◎ | 太い白根が出る。土への移植も容易 |
③培養土(水のみ) ☓ | ☓ | 全く根が出ず。雑菌による可能性 |
⑥培養土(発根促進剤ルートン付着) | ☓ | カルスが見られるが根は出ず |
⑦水挿し(水のみ) | △ | 根は出るが頼りない |
⑧水挿し(水+活力剤メネデール) | ◎ | 白根が多く出るが土に移植後が心配 |
正しい挿し木の方法と手順
上記の表で結果が◎の方法で挿し木を行うと高確率で発根することがわかりましたが、今回は土への移植も容易で太い白根が発根した④バーミュキュライト(発根促進剤ルートン付着)を使った方法と手順を紹介します。
挿し穂にする枝を切る
その年に伸びた新しい枝を清潔なハサミで10~15㎝ほどの長さで切り口を斜めに切ってください。
株の下の方から生えている木のように堅くなった枝からは根が出にくいので、なるべく若くて病害虫の付いていない元気な枝を選びましょう。
下葉を取る
切った枝の下の葉を3センチくらい全て取ります。
なぜ下葉を落とすのかというと、このまま土に植えてしまうと下葉の部分は腐って枯れ新しい根が出る切り口の部分まで腐ってしまうことがあるからです。
土はバーミュキュライトがおすすめ
ホームセンター等の園芸コーナーで市販されている挿し木用のセルトレイを用意しバーミュキュライトを入れます。
先に、バーミュキュライト全体が湿るようにたっぷり水やりをしましょう。
挿し穂をさした後から水をあげてもいいのですが、水の勢いで挿し穂がズレたり抜けたりするのを防止できます。
挿し穂をさす
挿し穂(1で切った枝)を挿します。真っ直ぐ挿し、先程葉を取った部分が隠れるまでです。
その際に切り口に「ルートン」のような発根促進剤を塗ると根が出る確率が高まります。
【さし木・発根促進剤】 ルートン 15g 住友化学園芸 |
明るい日陰かレースのカーテン越しで管理する。
直射日光の当たらない明るい日陰に置いてください。日の当たらない日陰では水が乾かず根が腐る可能性があります。
私の実験の条件下での水やりペースは3日に1回くらいでした。
1ヵ月待てば完全に根は出る
挿し木後、順調に育2~3週間ほど経てば切り口から根が出始めますが、まだ安心できる状態ほど伸びていません。
実験開始から1ヵ月経過すると条件によって根は完全に出ていました。
セルポットの中に根が張り巡らされるくらいになったら、ビニール製3.5号ポット(直径10.5㎝)、さらに成長したら素焼きの5号鉢(直径15㎝)~6号鉢(直径18㎝)に植え替えましょう。
まとめ
正しい挿し木方法を実践すれば初心者でも簡単に挿し木をして増やすことができます。
ローズマリーはハーブの中でも丈夫なため挿し木の適期である5~6月、9~10月であれば、培養土でも発根することがあります。
しかし、今回の実験で発根促進剤「ルートン」を付着させた挿し穂をバーミュキュライトに挿し木すれば成功率が高いことがわかりましたのでぜひ参考にして実践してみて下さい。
次はローズマリーを鉢で長く栽培するためのコツについてお話します。
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