大玉トマトの育て方!プランターで栽培できる方法
一般的に大玉トマト栽培はミニトマト栽培よりも難しいです。
なぜか?それは実が大きくなるまでに時間と手間がかかるからです。
収穫までの期間や手間がかかるということは、その分失敗する確率もあがります。
しかし、以下6つの点に気を付ければ初心者でもプランター栽培で収穫することができます。
■大玉トマトのプランター栽培6つのコツ
- わき芽かき
- 人工授粉(じんこうじゅふん)
- 摘果(てきか)
- 雨よけ
- 追肥(ついひ)
- 摘芯(てきしん)
この記事では栽培手順と注意すべき大玉トマト栽培6つのコツについて解説します。
もくじ(タッチすると移動します)
大玉トマト栽培基本データ
科名 | ナス科 |
原産地 | 南米・ペルー、エクアドルのアンデス高地 |
食用部分 | 実 |
生育適温 | 25~28℃ |
発芽適温 | 25~30℃ |
スタート方法 | タネ、苗 |
株サイズ | 草丈150~200㎝ 株幅60㎝ |
病害虫 | アブラムシ・ハモグリバエ・うどんこ病・青枯病・萎凋病・葉かび病・疫病等 |
大玉トマトの栽培時期と収穫までの流れ
地域 | 植え付け | 収穫 |
中間地(関東甲信・東海・近畿・中国・九州北部) | 4~5月 | 7~8月 |
北海道・東北 | 5~6月 | 7~9月 |
四国・沖縄・九州南部 | 4~5月 | 6~8月 |
寒冷地・中間地・暖地の区分
中間地・・・関東甲信、東海、近畿、福井県、中国、九州北部
暖地・・・・四国、九州南部、沖縄県
用意するもの
- 苗
- 培養土(肥料配合済み)
- 鉢底石(排水システムがあれば不要)
- プランター(丸型) 395×380×353(㎜) 土容量15~20ℓ
- 支柱 直径11㎜以上のもの
- ジョーロ
- スコップ
- 人工授粉に必要な道具(梵天/筆/トマトトーンのどれか1つ)
- 雨よけの資材(ビニール傘や雨が当たらない場所に置けば必要なし)
- 肥料
家庭菜園向き大玉トマトの主な品種
品種名 | 特徴 | 平均果重 | 種苗会社 |
ホーム桃太郎 | 着果性完熟トマト。病気に強く育てやすい | 200g | タキイ種苗 |
瑞栄 | 昔ながらの味で病気に強い | 200g | サカタのタネ |
大型福寿 | 甘さ控えめで酸味がある | 250g | ヤマト農園 |
ぜいたくトマト | フルーツ系トマト。 | 100g | 日本デルモンテアグリ |
麗夏 | 果実の割れ(裂果)が少なく病気に強い | 200g | サカタのタネ |
>>家庭菜園におすすめの甘いミニトマト・大玉・中玉トマトの種類
実践!大玉トマトのプランター栽培手順
大玉トマト栽培の具体的な手順を確認していきます。
苗の購入時期
大玉トマトの苗は3月くらいから流通し始めますが、初心者は5月、ゴールデンウイーク前後に購入することをおすすめします。
なぜかというと、トマトの苗は低温に弱く気温が冬に逆戻りするようなことが多い4月だと、傷んでしまうことがあるからです。
もし、4月中に購入した場合は、すぐに植え付けずポット苗に植わった状態で管理することを初心者にはお勧めしています。
苗選び
初心者の苗選びとして重要なのは、必ずタグ付きのブランド苗か接ぎ木苗(つぎきなえ)を選ぶことです。
タグ付きのブランド苗とは、例えばこのようにサントリーの「サングランデ」というタグが付いている苗ですね。
タグ付きのブランド苗の多くは実生苗(みしょうなえ)=種から育てたもの、自根苗(じこん)とも言う)なんですが、
耐病性や収穫量が多いなど、育てやすいように品種改良を重ね作出されています。
あるいは接ぎ木苗(つぎきなえ)を選んで下さい。
なぜかというと、病気になりにくかったり、たくさん収穫することができるからです。
詳しくは>>【画像あり】保存版!初心者のためのミニトマト苗の選び方
まずは接ぎ木苗の中で育ててみたい品種を選びましょう!
ホーム桃太郎、瑞栄、大型福寿、麗夏等々色々ありますね。
プランター選び
大玉トマト栽培に使用するプランターですが、丸型でも四角型でも構いません。
ただ、深さが30㎝以上のもの、土容量は15~20ℓのものが良いです。
浅いプランターで栽培されている方がいますが、上手く成長しません。
鉢底石に関しては、最近の野菜栽培用プランターの多くは、排水システム構造をしているので不要です。
もし、排水の穴が小さかったり、1つしかない場合は鉢底石を使用しましょう。
培養土(ばいようど)選び
“花と野菜の培養土”、“野菜の土”など名称は色々ありますが、野菜栽培に使える培養土(ばいようど)と名前が付いているものであればOKです。
もし、よく分からないのであればトマト栽培専用土を選ぶと良いです。
苗の植え付け
培養土をプランターの上の淵から3㎝程度まで入れ、ポット苗をプランターの中心に置きます。
手、もしくはスコップで穴を掘ります。
茎の根元とその周りの土が水平になるように植えます。
土を軽く手で押し、平らにします。
水をあげて植え付け完了です。
支柱立て
太さ直径11㎜以上の支柱を使います。
苗元から10㎝以上離れた場所に支柱を立てましょう。
支柱を立てる時期ですが、苗を植えた直後でも構いません。
要するに倒れなければ良いんです。
※コツ1 わき芽かき
大玉トマトに限らず、トマト栽培では必ず「わき芽かき」という作業をして下さい。
わき芽とはその名の通り、主の茎のわきから出てくる芽のことで、そのままにしておくと、どんどん太くなっていきます。
なるべく小さいうちに摘み取りましょう。
なぜわき芽を摘まなければならないのか?というと養分の分散を防ぐためです。
私たちの目的は大玉トマトを収穫することです。
養分が分散してしまうと実を大きくするための養分も少なくなってしまうため、結果的に実が成らなかったり、小さくなってしまうからです。
わき芽かきのやり方は>>こちらの記事で詳しく説明しています。
開花
房状に分かれてたくさん花芽が付いた後、黄色い花が咲きます。
※コツ2 人工授粉(じんこうじゅふん)
大玉に限らずトマトは必ず第1花房(最初に咲く花房)に実を付けさせないと「つるぼけ」といって茎葉ばかりに栄養が行き実がなりにくい現象が起きます。
ただ、ミニトマトや中玉トマトでは人工授粉をしなくても、風や花同士の密集による擦れ、虫によって受粉されるのですが、
大玉トマトは人工的に授粉をしてあげないと、うまく実がならないことがあります。
なので、最初に咲く花には必ず人工授粉を行ってください。
梵天(ぼんてん=耳かきの先についているフワフワ)もしくは筆を用意します。※耳かきはマツキヨとかで売ってます。
一番最初に咲く花房(第一花房)のうち2~3輪ほど開花したら、
1つの花ごとに、花の中心を梵天や筆で優しくなでます。
もしくはホルモン剤「トマトトーン」を吹きかけるなどしても人工授粉はできます。
着果(ちゃくか)
受粉がうまくいくと、花がしぼんだ後、小さい実がなります。
※コツ3 摘果(てきか)
摘果(てきか)とはいくつかある実のうち、良いものを選抜することです。
大玉トマトのみに必要な作業です。
プランター栽培では実がピンポン玉くらいの大きさまで育ったら、1房ごとに良い実を3~4個残してその他は摘み取ります。
小さいものや形の悪いものから先に摘み取ります。
実を少なくすることによって養分の分散を防止し、確実に大きい美味しいトマトを作ります。
※コツ4 雨よけ
大玉トマトを育てる場合は、雨よけをする必要があります。
ベランダや玄関先、テラスなど、雨の当たらない場所で栽培する場合、この作業は必要ありません。
読み飛ばしてもらってOKです。
ただし、雨が当たる場所で育てる場合、雨よけをします。
畑やお庭で地植えするときはトマトの雨よけ栽培セットが販売されていますが、
雨が当たる場所でプランター栽培する場合、透明のビニール傘を結束バンドで支柱に固定します。
なぜ雨よけをしなければならないのかというと、主に理由は2つあります。
1つ目は葉や実に雨が当たると高温多湿状態になり、病気が発生しやすくなるためそれを避ける目的があります。
そして2つ目がトマトには「裂果(れっか)」と言って皮が破れる現象があります。(下写真)
実が青いうちはまだ皮が固いのですが赤くなって熟してくると皮が軟らかくなってきます。
原因は大雨で根が大量の水分を吸うと実が膨張したり、水に濡れることで起こります。
水風船が破裂するようなイメージですね。
ですので、こんな風に果実を濡らしてはいけません!
裂果(れっか)自体はミニトマトでも起こります。
ただ、大玉はミニトマトより大きい分だけ収穫までに時間がかかること、
またミニトマトと比較すると皮が軟らかくて割れやすいため、頻繁に起こります。
基本的に大玉品種でも家庭菜園用は裂果に強い皮が厚めの品種がほとんどです。
プロの農家さんのように商品として売るのではなく家庭菜園で収穫して食べる分には問題ありませんが、裂果しにくい品種「麗夏(サカタのタネ)」を選んで栽培するのもおすすめです。
水やり
基本は土が乾いたら鉢底から水が出るまでたっぷり与えます。
真夏は朝夕2回与えましょう。
元々トマトは南米の乾燥地帯に自生しているため、むしろ水のやり過ぎに注意しましょう。
※コツ5 追肥(ついひ)
大きな実を付けるためには、よりエネルギーが必要です。
大玉トマトは1株、1房3~4個として第5花房まで育てるとおよそ20個くらい収穫できる計算です。
ミニトマトはプランター栽培でも100個くらい収穫できるので大玉トマトがいかに1つの実に養分を必要とするかわかると思います。
なので、初心者であれば元肥入りの野菜用培養土かリン酸分の肥料を施した土に植え付けます。
1ヶ月程度で肥料分が切れてきますが、追肥のタイミングは一番最初の実が成りはじめた頃からです。
固形肥料もしくは液体肥料どちらでも構いません。
液体肥料であれば2週間に1回の間隔で与えます。
さらに肥料にこだわりたい方は以下の記事が参考になりますよ。
>>トマト・ミニトマト栽培で実を大きく甘くするための肥料の種類
害虫対策
大玉トマト栽培ではアブラムシなど、害虫被害に遭うことがあります。
被害に遭う前に殺虫剤散布し予防するか、害虫を見つけたら散布するかします。
野菜栽培用の殺虫剤がありますが、オーガニック栽培にこだわる方は、天然由来成分(ヤシ油等)のアーリーセーフがあります。
病気対策
病気に関しては予防が大切です。
なるべく風通しの良い場所で栽培し、株が蒸れないようにするなどします。
それでも病気にかかることは普通にあるので、殺菌剤散布して対処します。
ウイルスなど病気の種類によっては、放置しておくと周囲で栽培している野菜や花などに拡散してしまうため、栽培終了しなければならないこともあります。
※コツ6 摘芯(てきしん)
支柱の高さ1800㎜~2000㎜程度まで成長したら、茎の先端を切ります。
摘心とは茎の成長を止めて実に栄養を回すために行う作業です。
写真のように2枚程度葉を残した下の位置をハサミでパッツンと切ります。
下葉かき
トマトの実は株の下から順番に成ります。
そのため、実が赤くなったあるいは収穫した後は、葉を切ってしまって構いません。
また黄色く変色している場合は、収穫前であっても葉は取り除きます。
いつまでも放置していると、病害虫発生の原因になります。
青い実(緑)が赤くなる過程
摘果(てきか)をして一房に3~4個実がなるようにすると写真のようにだんだんと大きくなってきます。
またこのくらいだと実がかなり硬いです。
だんだんと大きくなってきます。
株全体はこんな感じ
少しずつ青(緑色)から赤く変色してきます。
少しオレンジがかってますね
しかし、ホーム桃太郎などは赤くなる品種なので、元々オレンジ色に変色する「桃太郎ゴールド」などの品種とは異なり、ちゃんと赤く変色していきます。
桃太郎ゴールド オレンジ色品種は緑色からどう変化する?
余談ですが、「桃太郎ゴールド」のような橙黄色(とうこうしょく=オレンジ色)品種は、緑色からどのように変化すると思いますか?
実はこのようにまず、黄緑色っぽく変色します。
そして段々とオレンジ色を帯びてきます。
そして柿のようなオレンジ色になったタイミングで収穫します。
さてさて、通常の赤い大玉トマトの収穫の話に戻します。
収穫
収穫の目安は開花してから55~60日くらい(7月上旬~8月下旬)です。
地域や植えた時期によって6月下旬~7月初旬ではまだ青いままの場合もありますが、徐々に赤くなってきます。
トマトは房状に成りますが、一斉に赤くなるわけではありません!
ですので赤くなったら実から収穫していきます。
こちらは悪い例!完熟ですが、採り遅れています。
あまり長く実を付けっ放しにしておくと完熟するだけでなく実が割れて来たり、株も疲れてくるので収穫して下さい。
左後ろの実は割れていますね(裂果)
調理
トマトソースなど調理方法はたくさんありますが、わざわざ家庭菜園で育てたのなら、やっぱり生食が一番ではないでしょうか。
大玉トマトはサイズが大きい分、食べ応えもあります。
半分に切ってみました。
こちらは大型福寿という昔ながらの酸味の効いた品種。
皮が柔らかく、果肉はゼリー質が多く水分も多めです。
一方、こちらは大玉トマトの定番品種!フルーツトマトとして食されるホーム桃太郎。
昔ながらの品種と比べ、皮もパリッとした食感で、果肉はゼリー質が少なくギュッとしまって凝縮しています。
このままかぶりつくのも良いですが、くし切りにします。
なんてみずみずしい大玉トマトなんでしょう!
自宅のプランター栽培なら合格ではないでしょうか?^^
まとめ
大玉トマトのプランター栽培の6つのコツ
- わき芽かき
- 人工授粉(じんこうじゅふん)
- 摘果(てきか)
- 雨よけ
- 追肥(ついひ)
- 摘芯(てきしん)
今回は大玉トマトに限定した栽培ポイントをご紹介しました。
6つのコツを守ればプランター栽培でも十分大玉トマトを収穫できます。
ミニトマトよりは難易度が高いですが、今回ご紹介した内容を実践すれば初心者でも大玉トマトも収穫できますのでぜひ参考にしてみて下さい。
ミニトマト栽培は>>ミニトマトの育て方!プランターで初心者がベランダ栽培できる方法を参考にして下さい。
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