小玉スイカの育て方|初心者がプランターで作れる空中栽培方法

家庭菜園で育てる野菜にはトマトやピーマンなど初心者でも簡単に育てることができる野菜がありますが、スイカとなると場所があっても初心者には栽培が難しい野菜です。
しかし、空中栽培であれば小玉スイカをプランターで育てることができます。
以下はプランター栽培のコツです。
のちほど手順と共に解説します。
■小玉スイカのプランター栽培6つのコツ
- 空中栽培
- 日当たりで育てる
- 整枝(せいし)
- 人工授粉(じんこうじゅふん)
- 摘果(てきか)
- 果実の保護(ネットで吊る)
小玉スイカ栽培基本データ
科名 | ウリ科 |
原産地 | 熱帯アフリカ |
食用部分 | 果実 |
生育適温 | 25~32℃ |
発芽適温 | 25~30℃ |
スタート方法 | 種、苗 |
株サイズ | 幅80~120㎜ 高さ100~150㎜ |
害虫 | アブラムシ、ハダニ、ヨトウムシ、ウリハムシ |
病気 | うどんこ病等 |
小玉スイカの栽培時期と収穫までの流れ
地域 | 植付け | 収穫 |
中間地(関東甲信・東海・近畿・中国・九州北部) | 5月中旬~6月初旬 | 7月初旬~8月中旬 |
北海道・東北 | 5月下旬~6月中旬 | 7月下旬~9月初旬 |
四国・沖縄・九州南部 | 5月初旬~5月下旬 | 6月下旬~8月中旬 |
寒冷地・中間地・暖地の区分
中間地・・・関東甲信、東海、近畿、福井県、中国、九州北部
暖地・・・・四国、九州南部、沖縄県
用意するもの
- 苗
- 培養土(肥料配合済み)
- 鉢底石(排水システムがあれば不要)
- プランター 丸型 直径300㎜×深さ300㎜ 土容量15ℓ
- 支柱 太さ11㎜以上 長さ1800㎜×4本
小玉スイカの主な品種
品種名 | 果重 | 糖度 | 種苗会社 |
紅こだま | 2㎏ | 12度 | サカタのタネ |
愛娘 | 2.5~3.0㎏ | 13度 | ナント交配 |
黄小玉 | 2~2.5㎏ | 12度 | ナント交配 |
マダーボール | 2~2.5㎏ | 12~13度 | ヴィルモランみかど㈱ |
※果重、糖度はおよその目安です。
小玉スイカのプランター栽培手順
それでは実際に小玉スイカをプランターで栽培する手順の中で、6つのコツを織り交ぜながら解説します。
■小玉スイカのプランター栽培6つのコツ
- 空中栽培
- 日当たりで育てる
- 整枝(せいし)
- 人工授粉(じんこうじゅふん)
- 摘果(てきか)
- 果実の保護(ネットで吊る)
小玉スイカの苗選び
葉が青々としていて、茎が太く全体的にシャキッとした苗を選びましょう。
4~5月にかけて、たくさんの種類を置いているホームセンターや園芸店は、その分売れる回転も速いので、常に新しい苗が仕入れられています。
植え付け(うえつけ)
プランターは直径300㎜×深さ300㎜、土容量15ℓの丸型を使います。
土は野菜栽培の培養土がカンタンです。
プランターの淵から3㎝、あるいは土を入れる目安線に従って入れます。
中心にポット苗を仮置きし、植える位置を決めます。
手、もしくはスコップで穴を掘り、苗の根元と土の位置が水平になるように植え付けて完了です。
コツ1 空中栽培!支柱立て(しちゅうたて)
4本の支柱を使って空中栽培するための準備をします。
小玉スイカ栽培で使用する支柱の太さは11㎜以上、長さ1800㎜×4本
最終的に重量2~3㎏の果実を支える必要があるため、太ければ太いほど安心です。
先程用意したプランターの上の淵から3センチのところまで土を入れ、鉢の真ん中に手で穴を掘り苗を植え付けます。
写真のように鉢の四隅に支柱を4本立て上部を1つにして縛ります。
4本をまとめてきつく縛りましょう。
鉢の下部分に四角形になるようにひもを4つの支柱に結びます。
支柱に一度ひもを回しかけながら四角形を作っていきます。
次に4mの麻ひもを4本用意します。
まずそのうちの1本を支柱の先端に引っ掛け、今作った下の四角形のところまで何㎝あるか長さを測りましょう。
ちなみに長さ180㎝の支柱を鉢の底まで刺して(鉢の深さは30㎝)測ったところ支柱の上から四角形のところまで約150㎝でした。
長さがわかったら引っ掛けたひもを外し麻ひも4本まとめて中央に結び目を作って下さい。
結び目の先端を支柱の先端に引っ掛け下の四角形までピンと張る
上から垂れている麻ひもをピンと張って結ぶには下で一回ひもをかけ回してから縛るといい。
以上で完成です。
コツ2 日当たりで育てる
小玉スイカ栽培では、プランターは必ず日当たりに置いて育てて下さい。
スイカの原産地は熱帯アフリカのサバンナや砂漠なので、暑い場所が大好きです。
ちなみに、アフリカ南部、ボツワナ共和国にあるカラハリ砂漠の夏の気温は20~40℃あります。
そのため、日本では最高気温が20℃を超える5月~6月から栽培スタートするのが最適です。
コツ3 整枝(せいし)
スペースが限られているプランター栽培では、なるべく養分が分散しないようにする必要があります。
そこで、敢えて枝(茎)を少なくすることで1つの実に養分を集中させる作業を行います。
親づる(主枝)と子づる(側枝)1つだけ残し2本仕立てにします。
下図をご覧ください。
中心の親づる(主枝)から沢山のわき芽=子づる(下図赤線)が出てきます。
下から5~6節までに出てきた元気なわき芽を1つだけ残し、他は全部切って下さい。
つるの誘引
成長してくるとつるが伸びてくるため、その都度支柱やひもに絡み付けて下さい。
葉が日光に当たるようにつるを絡ませます。
開花(かいか)
小玉スイカの黄色い花自体は、幼い苗のときでも咲きます。
ただ、実際に果実として収穫するための花は整枝後に咲く花なので、写真のように整枝前に咲く花は株の体力消耗を防ぐためにも摘むのが正解です。
イチゴなどと違い小玉スイカは房状にたくさん実がなるわけではないので、摘まずに放置しておいても構いません。
コツ4 人工授粉(じんこうじゅふん)
スイカには雄花(おばな)と雌花(めばな)が咲き、受粉する必要があります。
【雌花(めばな)】
根本に膨らみがある
【雄花(おばな)】
根本に膨らみがない
しかし、プランター栽培では1個だけ果実が成れば良いので、ミツバチなど昆虫が来る環境であれば人工授粉しなくてもOKです。
ただ、マンションの高層階など昆虫が来ない環境で栽培するならば、人工授粉しましょう。
人工授粉の具体的なやり方手順
晴れている日の朝9時くらいまでに
雌花(めばな)と雄花(おばな)の両方が咲いていることを確認します。
次に、雄花(おばな)1つを摘み取り、花びらを全てむしります。
そして雄花の中心にある雄しべの花粉を、雌花の中心にある雌しべにこすり付けて完了です。
着果(ちゃっか)
当たり前ですが、受粉が成功すれば下写真のように実が付きます。
既にスイカの縞模様が入っているのが分かりますね。
コツ5 摘果(てきか)
整枝の項目で、親づる(主枝)と子づる(側枝)1つだけ残し2本仕立てにしました。
しかし、2本仕立てで伸ばした親づると子づるに複数の果実が付いたら、つる1本あたり1果になるようにその他果実は切り取ってください。
それを継続し、果実がソフトボールくらいの大きさになったら、1鉢につき1果になるように、残りの1果を取り除きます。(最終的な摘果)
コツ6 果実の保護(ネットで吊る)
果実に洗濯用ネットなどをかけてひもで吊って重さを支えましょう。
具体的にどのようにやるのかというと、洗濯用ネットの両端にひもを結びつけハンモック状にして支柱に固定します。
ここに果実を乗せて下さい。
ネットは2~3㎏の重さに耐えらえる素材であれば何でも構いません。
麻ひもでネット上に編む方法もありますが、洗濯用ネットを使うと簡単です。
果実を乗せてみて、しっかり重さに耐えらえるか確認、調整して下さい。
水やり
スイカはアフリカ南部原産の野菜!
つまり、暑さや乾燥に強いです。
ということは、水やりも毎日じゃぶじゃぶやるよりは、しっかりと乾いてから与える方がいいわけです。
追肥(ついひ)
追加で肥料を与えるタイミングは、2回目の摘果後です。
固形肥料、液体肥料どちらでも構いませんが、これ以後2週間に1回ほどのペースで与えます。
詳しい分量はお使いの肥料のパッケージに記載されているので、そちらを参考にしてください。
害虫対策
スイカはキュウリやメロンと同じウリ科の野菜です。
ウリ科野菜が特に注意したいのはウリハムシ!
食害される前に、薬剤散布などをして対策します。
病気対策
害虫対策同様に、事前対策に力を入れましょう。
日当たりが良く、風通しの良い場所で育てる、枯れた葉は取り除くなど病気の原因になりそうな状態を作らないように!
そして、もし病気になってしまったら殺菌剤を散布するなど対処します。
収穫(しゅうかく)
株全体も順調に成長してきました。
ネットで保護した果実がだんだんと大きく成長してきます。
スイカの収穫タイミングは、状態を見るのはもちろんですが、開花から30~50日の間です。
適期は品種によって異なるため、できれば苗を購入するときに確認しておくことをおすすめします。
ちなみに赤小玉「愛娘あすか」は収穫の目安 約開花後30~35日と記載されています。
また果実のすぐそばにある“巻きひげ”が枯れてきた頃も目安の1つです。
ヘタを切って収穫します。
調理
スイカの“調理”といっても、何か料理を作る一素材として利用するよりも、食後の果物、フルーツとして切ってそのまま食べるのが一番です。
ということで、収穫した小玉スイカをカットしてみました。
みずみずしい!!
開花から30~50日したら果実の付け根を切って収穫完了です!
まとめ
小玉スイカのプランター空中栽培について解説してきました。
狭いスペースであっても十分収穫できることが分かったと思います。
人工授粉や摘果など少し、大変な作業もありますが、今回ご紹介したコツを参考にして頂ければ幸いです。
■小玉スイカのプランター栽培6つのコツ
- 空中栽培
- 日当たりで育てる
- 整枝(せいし)
- 人工授粉(じんこうじゅふん)
- 摘果(てきか)
- 果実の保護(ネットで吊る)
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