ナスの育て方!プランターで初心者が栽培できるコツと方法
ナスはトマトやピーマンと並び家庭菜園初心者におすすめの野菜です。今回はこの記事を読むだけで初心者でも簡単に収穫できるナスの栽培方法を写真と共に紹介します。
もくじ(タッチすると移動します)
ナス栽培のスタートから収穫時期までの流れ
以下は中間地(関東甲信・東海・近畿・中国・九州北部)の栽培サイクルです。
北海道・東北などの寒冷地は5月下旬~、四国・沖縄等の暖地は4月中旬~栽培スタートです。
4月末~5月中旬: 植え付け&仮支柱立て
植え付け1ヶ月後: 支柱の3本立て・整枝・追肥
収穫: 6月上旬~
更新選定: 7月下旬~
秋以降の収穫: 10月下旬まで
用意するもの
- 接ぎ木苗(千両2号などの中長ナスがおすすめ)
- 培養土(肥料が配合されているもの)
- 鉢底石(軽石など)※排水版が付いている鉢は不要
- プランター(深鉢の直径30㎝×深さ30㎝・容量15ℓ以上)
- 仮支柱&支柱 太さ直径11㎜~16㎜・長さ120㎝程度×3本
- 追肥用肥料(初心者は「花工場」「ハイポネックス」液体肥料がおすすめ)
苗の種類
初心者は「千両2号」や「とげなし千両2号」など長卵形品種の中長ナスをおすすめします。
「筑陽」「黒陽」「庄屋大長」などの長ナスや大丸ナスは実を大きくするためには時間と栄養分も必要なため株が疲れやすく、採れる量も少ないのでプランター栽培に限った場合あまりおすすめしていません。
なので今年初めてナスの栽培をするのであれば中長ナスをおすすめします。
ナスの苗は接ぎ木苗(つぎきなえ)を選ぶ
ナスの苗には100円程度で販売されている実生苗(みしょうなえ)と250円~する接ぎ木苗(つぎきなえ)の2種類があります。
家庭菜園で楽しむのであれば必ず接ぎ木苗を選びましょう。見分け方としては苗の根元にクリップが付いています。
クリップは上と下で別々の品種が接(つ)いである証拠です。
このように青々とした元気そうな苗を選んで下さい。
接ぎ木苗のメリット
- 病気になりにくい
- たくさん収穫できる
病気になりにくい理由
接ぎ木苗とは根っこの部分だけ病気に強いナスの「台太郎」等の台木品種に「千両2号」などの品種をくっつけることで連作障害が出にくい苗のこと。
連作障害(れんさくしょうがい)とはナス科野菜を毎年同じ土で育てると病気にかかりやすくなったり、病弱な株になる現象で結果的に収穫量も減ってしまいます。
近くで他の野菜も栽培していれば病気や害虫が移ってしまうことあり良いことはありません。
実生苗(みしょうなえ)とはナスのタネから育てた苗なので根の部分も株全体も同じ品種になります。そのため連作障害が出やすいのです。
だから連作障害の出にくい接ぎ木苗がおすすめなんです。
たくさん収穫できる理由
丈夫な接ぎ木苗は病気に強いというだけでなく、肥料の吸込みが良かったりするので丈夫な株に成長します。
丈夫な株には実が沢山つくので特別な栽培技術がない超初心者でも栽培することができます。
ならば生産者も接ぎ木苗を使えば良いのでは?という疑問が沸くと思いまが、接ぎ木苗は実生苗よりも値段が高いので農業レベルで大量に栽培する場合は費用がかかります。
4月末~5月中旬 植え付け
プランター(深鉢の直径30㎝×深さ30㎝・容量15ℓ以上)と野菜栽培用の培養土などを用意します。
培養土の値段にも幅がありあまりに安い培養土には肥料が配合されていなかったりするので必ず袋に肥料配合が記載されている培養土を購入しましょう。
プランターは下写真のような排水システムのあるものであれば、鉢底石(軽石など)は不要です。
もし穴が1個しか空いていないような普通の鉢に植えるならば必ず鉢底石(軽石など)入れましょう。
最近は、最初からネットに入った鉢底石も販売されています。
培養土を鉢の上から2~3㎝まで入れる
培養土は必ず鉢の上から2~3㎝まで入れてスペースを空けておきます。このスペースのことを「ウォータースペース」と言って、このスペースがあることで水やりをしたときに土があふれません。
次に苗をビニールポットから出して鉢の中心に置きます。
苗の表面と鉢土の表面の高さが同じになる大きさの穴をスコップで掘ります。
仮支柱を立てる
苗を植えたら仮支柱を立てましょう。
仮支柱とは苗が小さいときに支えるための支柱のことで、割り箸や細い支柱を使います。
根元の方の茎を麻ひもなどで緩く結びます。
仮支柱の立て方と苗と支柱の結び方についてはこちら
ナスの整枝「3本仕立て」のやり方
ナスは中心の太い枝(=茎)と一番最初に咲いた花のすぐ下のわき芽2本の合計3本だけを伸ばす3本仕立てをします。
このように整枝する理由は茂り過ぎて風通し悪くなり病気になりやすくなるのを防いだり、枝葉が増えて養分が分散するのを防止する目的があります。
作業前の株の状態(下写真)を見て下さい。花芽の下の枝わきから葉と共に芽がたくさん出ています。
次に、花芽が付いたらOR最初の花が咲いたら、花のすぐ下のわき芽1、さらにそのすぐ下のわき芽2を残す
2つのわき芽は残してそれより下のすべてのわき芽を摘みます。
わき芽を取ったのできれいになりました。この作業を整枝(せいし)といいます。
わき芽は枝に成長するので
主枝+わき芽(枝)1+わき芽(枝)2=3本仕立て
となります。
支柱の立て方
支柱は中心の太い枝に真っすぐ沿って1本立てます。
ナスは高さ100㎝くらいまで成長するので直径11㎜~16㎜・長さ120㎝程度の支柱を株元から10㎝以上離したところに真っ直ぐ1本さします。
残り2本の支柱はまだこの時点では立てません。
わき芽が育ち伸びてきてから枝に沿わすように中心の支柱に対して✖字形に交差させ、上の方で3本まとめてヒモで縛ります。
わき芽1とわき芽2が枝に成長してきたら支柱に沿わせてヒモで結びます。
これで3本仕立ての完成です。
梅雨明けは葉水(シリンジ)をしてハダニ被害を防ぐ
ナスにつく主な病害虫はハダニとアブラムシ、うどんこ病などです。
特にハダニは梅雨明け後の乾燥した日が続くと発生しやすいので、この時期にナスの葉にジョーロのシャワーなどで葉の表裏に水をかけましょう。
専門用語で葉水(はみず、シリンジ)といいます。上写真のように葉水をすることで葉の乾燥を防ぎハダニ発生を防御できます。
先に紹介した整枝はこのような病害虫の発生の予防に繋がるので必ずやっておきましょう。
水やりのタイミング
ナスの水やりで覚えてほしいこと上写真のように水切れで株をぐったりさせないということ。
上写真の状態は最悪の状態です。これを続けていると株が弱ります。
ナスの原産地は高温多湿なインド地方です。そのため日本の春から~夏の気候に十分に適した野菜です。
ナスは乾燥に弱いので葉の状態を毎日よく観察し水切れしないようにします。
しかし、難しいのはずっと湿った状態だと根が腐ってしまいます。なので夏場は朝夕の2回水をあげても良いのですがそれ以外の季節は水やりのタイミングを体感で覚えるしかありません。
水やりのタイミングを体感で覚えるコツ
水やり前の鉢の重さと水やり後の鉢の重さを比較し、水やり前の鉢の重さに近くなった時が次に水やりのタイミングです。
さらに毎日ナスの株を観察していると水が足りている時と不足している時の葉っぱの様子がわかるようになります。
水が不足してくると全体的に葉がしんなりしてくるので、完全にぐったりしなびる前にやりましょう。
ぐったりさせると株が弱ります。水やりをすれば元に戻りますが、収穫に影響します。
水やりを極める方法は以下の記事で解説しています
⇒プランター菜園で育てるミニトマトにやってはいけない水のやり方
肥料・追肥のタイミング
ナスの肥料について大事なポイントは「ナスは肥料食い」ということ。
肥料食いとは肥料を多く必要とするという意味です。
多くというのは1回の量ではなく頻繁に必要とするということで、一度でも肥料切れを起こすと株が弱って実付きが悪くなります。
追肥のタイミングは植え付け1ヶ月後から2週間に1回のペースで「花工場」「ハイポネックス」等の液体肥料か固形の肥料を与えましょう。
美味しいナスは肥料無くしてはできません!
着花(ちゃっか)
小さな花芽が付いているのがわかるでしょうか?
開花(かいか)
紫色のナスの花が咲き始めました!
着蕾(ちゃくらい)
ここでは花がしぼんで蕾が付くことを着蕾と表記していますが、“ちゃくらい”という日本語はありません。
便宜上使っています。
花が咲き終わり、しぼんだ後、今度は実になります。
このようにだんだんと大きく成長するんですね。
一番果の若取り
一番最初に咲いた花が一番最初に成る実になります。これを「一番果(いちばんか)」といいます。
ナスの一番果は長さ8~10㎝以下の小さいうちに収穫して下さい。
初めて成ったナスに感動すると思いますが、今後の成長のために必ず実が食べられないような小さいうちに収穫しましょう。
なぜか?というとナスにとって実を成らせるのはエネルギーを使います。株が疲れてしまうんですね。
一番果は株が若いうちに成る実なので早く摘み取らないとその後の株の成長が悪くなります。
収穫
長ナスを除く千両2号など通常サイズの品種は、だいたい長さ10~12㎝程度になったら収穫することをお薦めします。
ナスのヘタのちょっと上の部分をハサミで切り取ります。
いつまでも株に成らせたままにしないのが次々と実を成らせるコツです。
秋ナスを収穫するための更新剪定(こうしんせんてい)とは?
ナスには更新剪定(こうしんせんてい)という他の野菜栽培ではない作業があります。
ナスは栽培期間が長い野菜です。しかし家庭菜園でナスを育てる多くの人はだいたい4月中旬~5月中に植えて8月くらいまでで栽培を終わらせてしまいます。
夏以降10月下旬くらいまで成る秋ナスを楽しむには大きく成長した株や根を少し切り、いったん収穫をやめなければいけません。
更新剪定の適期は7月下旬~なので夏の収穫の盛りにこの作業をするのは初心者には心情的に難しいです。
せっかく実がどんどん成っている株を切るのはせつないですよね。もちろん更新剪定をすることで1ヶ月後にはまた実が付き始めるのですが。
更新剪定の手順
7月下旬~夏の終わりに株が疲れて実付きが悪くなってきたら株全体の枝葉を2分の1~3分の1程度の長さに切ります。
株元から20㎝ほど離したところ3か所でシャベルや移植ゴテを刺し入れて根を切り、同時に化成肥料などの固形肥料10gを追肥として入れます。
このように春から夏まで成長した枝葉の長さを切り詰め、伸びすぎた根も途中で切ること疲れ切った株を再生し、秋ナスの収穫につなげます。
まとめ
ナスは水切れと肥料切れに注意して育てれば初心者でも次から次へと実を収穫することができます。
今回紹介した内容を実践すれば初心者でも秋まで収穫できるのでぜひチャレンジしてみてくだい。
また家庭菜園初心者におすすめの野菜にはトマトやピーマンもありますよ!
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