家庭菜園の土作りの順番を初心者に解説!庭の空き地を畑にする方法
初めて家庭菜園を始めたい場合、何から始めればいいのかわからないと思います。
そこで、今回は庭の空き地を0から耕しちゃんと野菜が収穫できる家庭菜園の作り方の手順を紹介していきます。
もくじ(タッチすると移動します)
必要な道具
最低限必要なものは◎を付けています。
道具名 | 使い方 | 必需品 |
大型スコップ(ショベル) | 固い土掘り起こす | ◎ |
クワ | 掘り起こした土を細かく耕す | ◎ |
ホー | 草刈り、土を株元に寄せる | △ |
レーキ | 平らにならす、雑草を集める | △ |
メジャー | 菜園スペースを測る | ◎ |
ひも(水糸など) | 菜園スペースを区切る | ◎ |
家庭菜園の場所を確保
まず、家庭菜園にしたい場所を決めます。
そのために
間縄(けんなわ)を張る、もしくはフェンスで囲うなどします。
間縄(けんなわ)は別にふつうの紐(ひも)でも構いません。
私の場合は建築工事などで水平線を示すために使われる水糸(みずいと)・測量用糸で代用するか、もしくは
フェンスでざっくり囲ってしまいます。
支柱(棒なら何でも可)に水糸を結び、畑にしたい場所を囲うとこんな感じになります。
なぜ栽培スペースを決める必要があるのかというと、決めることで菜園計画が立てやすいのと、資材を無駄に使わないためです。
野菜栽培をしない場所にたい肥や肥料などをまいても仕方ないのでね。
場所が決まったらさっそく「土作り」に取り掛かりましょう!
■理想的な土作りの順番
- 土の耕作・・・タネまき・植え付けの2~3週間前まで
- 土壌酸度調整・・・タネまき・植え付けの2週間前まで
- 元肥入れ・・・タネまき・植え付けの1週間前まで
これから1つずつ解説していきます。
土の耕作(こうさく)
タネまき・植え付けの2~3週間前までに行います。
体力のある方は土の耕作から土壌酸度調整まで同時にできますが、時間がかかるのと、耕作するだけでも結構大変なのでご自身の体力に合わせて作業して下さい。
野菜栽培する場所を決めたらいよいよ土を耕作していきます。
以下は初めて私が自宅の極小スペースに家庭菜園を作る前の空き地です。固そうな土ですね
次に大型スコップ(ショベル)で固い土に刺し込み、土を掘り上げて、土中に空気を入れていきます。
掘るときのコツですが、スコップの刃に足を乗せて垂直に土に突き刺していきます。
掘ったらスコップを回して土を戻す、少しずつずらしながら固い土を同じように掘り起こしていきます。
最初は土が固いと思うので、体力を使うと思いますが、だいたい畝のサイズよりも一回り大きめに広く掘り起こしておきましょう。
次にクワを使い、ゴロゴロした土のかたまりをほぐしていく感じで耕します。
こんな感じで土がなめらかにみえるくらいまで耕しましょう。
だいぶゴロゴロした土が無くなりました。
土壌酸度調整(どじょうさんどちょうせい)
タネまき・植え付けの2週間前までに行います。
続きまして、土壌酸度調整(どじょうさんどちょうせい)をします。あまり聞きなれない言葉ですが、初心者こそちゃんとやるべき作業です。
よく、ホームセンター等で野菜苗を購入してきてそのまま庭の片隅に植えて栽培し、たいして収穫できていないケースをお見かけしますが
せっかく家庭菜園をスタートするなら野菜が育ちやすい土壌環境を作ってください。
まず、土壌酸度計(どじょうさんどけい)を購入しましょう。
|
家庭菜園にしたい場所の土壌の性質がアルカリ性なのか、それとも酸性、弱酸性、あるいは中性なのかpH(ぴーえいち)値という数値を調べます。pH(ペーハー)とも言います。
- pH値14・・アルカリ性
- pH値7.0・・・中性
- ph値6.0~6.5・・・弱酸性
- pH値0・・・酸性
まず、土壌酸度計を土に刺してください。
以下を見て下さい。土壌酸度計はpH6.0を示しています。
この針がpH6.0以下、5.0を下回るようだと土壌酸度は酸性です。
一般的に日本は雨が多いため一部の土壌を除き、多くはミネラル分が流出し酸性土壌に傾きがちです。
そのためアルカリ性質を含む石灰をまくことで調整していきます。
石灰には強いアルカリ性の消石灰(しょうせっかい)やカルシウム(苦土)やマグネシウム(石灰)を含む苦土石灰(くどせっかい)、あるいは貝殻などの有機石灰がありますが、
初心者は苦土石灰(くどせっかい)から使用するのがおすすめです。
苦土石灰(くどせっかい)をまくことで酸性の土壌をアルカリ性寄りにすることができます。
ただし、苦土石灰も少しずまき、土壌酸度計で逐一調べながらまいてください。適当にまくと今度は土壌がアルカリ性になってしまうので注意して下さい。
まいたらOKではなく、ちゃんともう1回土壌酸度を計測しましょう。
各野菜には最適な土壌酸度があり、数値に合わせた調整が必要です。
多くの野菜は土壌酸度が弱酸性であるpH6.0~6.5未満が栽培に適しています。
例えば、ミニトマト栽培に適した土壌酸度はpH6.0~6.5未満に調整する必要があります。
土壌酸度pH値 | 果菜類 | 根菜類 | 葉菜類 |
5.0~6.0未満 | スイカ | サツマイモ | |
ジャガイモ | |||
ニンニク | |||
ラッキョウ | |||
ショウガ | |||
6.0~6.5未満 | イチゴ | カブ | キャベツ |
インゲン | ゴボウ | レタス | |
エダマメ | サトイモ | コマツナ | |
カボチャ | ダイコン | シュンギク | |
キュウリ | ニンジン | ハクサイ | |
トウモロコシ | ラディッシュ | ブロッコリー | |
トマト | ヤマイモ | チンゲンサイ | |
ナス | パセリ | ||
ピーマン | ニラ | ||
ゴーヤ | アスパラガス | ||
ズッキーニ | アサツキ | ||
ソラマメ | ワケギ | ||
マクワウリ | セロリ | ||
メロン | クウシンサイ | ||
ラッカセイ | ミズナ | ||
オクラ | ミブナ | ||
6.5~7.0 | エンドウ | ホウレンソウ | |
ソラマメ | |||
タマネギ | |||
ネギ |
アルカリ性の土を酸性に寄せるには
以下写真を見て下さい。土壌酸度計がpH7.0を示しており、アルカリ性であることを意味しています。
実際に土壌がアルカリ性になってしまった場合は、酸性寄りにする必要が出てきます。
しかし、酸性からアルカリ性に寄せるのと違い、アルカリ性から酸性に寄せるのは難易度が高いです。
酸性→アルカリ性 易
アルカリ性→酸性 難
アルカリ性から酸性に寄せるには強酸性である「酸性度未調整ピートモス」をまく方法があります。微調整しつつまかないとまた酸性によってしまうので注意です。
その他の方法として即効性があり窒素肥料として使われ、酸性にする性質をもつ硫安(りゅうあん)をまく方法があります。
注意点として、硫安は石灰資材と一緒にまいてはいけないことと、たくさんまいてしまうと条件によっては硫化水素が発生し植物が根から枯死してしまうためごく少量しか使えません。詳しくはパッケージに記載されていますので参照してください。
元肥入れ(もとごえいれ)
タネまき・植え付けの1週間前までに行います。
元肥(もとごえ)と読みます。よく“もとひ”と呼んでいる人がいますが正しくは「もとごえ」です。
元肥とはその名の通り、元から入れる肥料のことなのですが、正確に言うとたい肥と肥料の2つを指します。
たい肥と肥料を土作りの段階で入れることで野菜が順調に育つようになります。
■元肥(もとごえ)
- たい肥・・・土をふかふかにする土壌改良効果がある
- 肥料・・・野菜の“食事”。
たい肥
一般的に家庭菜園の土作りで使うたい肥は「完熟牛ふんたい肥」です。
入れる分量は4~6ℓ/㎡です。
人によっては腐葉土(ふようど)やバークたい肥を使いますが、完熟牛ふんたい肥が無難です。
え、牛の糞を入れるの?汚くない?と思うかもしれませんが、牛の糞と藁などを混ぜて発酵処理させたものなので臭いもありませんし、サラサラとしています。
馬糞たい肥もありますが、牛ふんよりお値段が高く効果は牛ふんと比較してそれほど変わりません。
肥料(ひりょう)
元肥に使う肥料にはいくつか種類がありますが、家庭菜園初心者にとって最も簡単に扱える肥料は「化成肥料(かせいひりょう)」です。
まく分量は30~50g/㎡ほどです。
化成肥料とは複数の肥料成分を1つにまとめた肥料で、形や大きさが均等で成分が同じなのでむらなく施すことができます。
例えば普通化成肥料(ふつうかせいひりょう)と呼ばれるものにチッ素(8)・リン酸(8)カリ(8)と記載されているものがあります。
- チッ素・・・葉の成長を助ける
- リン酸・・・花・果実の成長を助ける
- カリ・・・根の成長を助ける
普通化成肥料とはチッ素・リン酸・カリの3つの成分量の合計が15%以上、30%未満のもので肥料分が少なめなので肥料のまきすぎによる失敗を防ぐことができます。
肥料には主に有機質肥料(ゆうきしつひりょう)と化学肥料(かがくひりょう)の2つに分けられます。
初心者におすすめなのは今ご説明した通り「普通化成肥料」であり化学肥料に含まれます。
化学肥料と言っても人間に無害なのですが、動物や植物を原料とした有機質肥料(ゆうきしつひりょう)にこだわって栽培したい場合は発酵油かすやぼかし肥、発酵鶏ふんに米ぬかプラスするなど、元肥として使うといいでしょう。
有機質肥料はいろいろな種類があるため家庭菜園にハマってくると色々試してみたくなります。
ただ、初心者には少し難しいので、有機質肥料を試してみたいなら
有機複合肥料(ゆうきふくごうひりょう)といった有機質系+化学系のミックスした便利な肥料を使うのもいいでしょう。
元肥(もとごえ)の入れ方
元肥(もとごえ)の入れ方には全面施肥(ぜんめんせひ)と溝施肥(みぞせひ)の2種類があります。
どちらの方法を取るかは栽培したい野菜によって異なります。
入れ方 | 読み方 | 特徴 | 具体名 |
全面施肥 | ぜんめんせひ | 栽培期間が短い野菜 | ホウレンソウ・コマツナ等 |
浅植え野菜 | イチゴ、キュウリなど | ||
根に肥料が触れると形が悪くなる野菜 | ダイコン、ニンジンなど | ||
溝施肥 | みぞせひ | 栽培期間が長い野菜 | トマト、ナス、ピーマン等 |
栽培期間が長い葉物野菜 | キャベツ、レタス、ブロッコリー等 |
全面施肥の具体例と作業の順番
たい肥→肥料→耕す→畝立て
たい肥をまんべんなくまきます。
栽培場所全面にまくので全面施肥といいます。
肥料も全体にまいて、よく混ぜます。
そして畝立てをします。
溝施肥の具体例と作業の順番
溝を掘る→たい肥→肥料→埋戻し→畝立て
深さ15~20㎝ほどの溝を掘ります。
たい肥を入れます。
次に肥料を入れます。
畝立て(うねたて)
元肥を入れた際と同時にそのまま畝を立てても構いませんが、土作り作業としては元肥入れまで出来ていればOKなので、植え付け当日までに畝を立てれば問題ありません。
畝(うね)とは野菜苗のためのベッドですね。
野菜栽培初心者なら絶対にやってほしい作業です。
■畝の種類と用途
畝の種類 | 読み方 | 高さ | 用途 |
平畝 | ひらうね | 5~10㎝ | 通常 |
高畝 | たかうね | 20㎝以上 | 水はけ悪い場所 |
鞍つき畝 | くらつきうね | 20㎝の円すい状 | スイカ・カボチャ用 |
畝を立てることで以下のメリットがあります。
- 水はけがよくなるため野菜がよく育つ
- 根がしっかり伸びる
- 追肥などにおいて作業しやすい
- マルチが張りやすい
- 畑とその他を区別できる
まずは大枠を作ります。
外側の土を掘り中心に盛っていきます。
初心者は慣れるまで形を作るのが意外と難しいです。
そういう私もレーキなど土をならす道具を使っていないので下手くそですが、、、
高畝(たかうね)にしてみました。水はけが悪くないのであれば平畝(ひらうね)で十分です。
先程と同じく畝の周に溝を作る感覚で土を掘り、掘った土を畝の中心に盛るイメージです。
※畝立てをしていて、高さ5~20㎝くらいの畝を作れるだけのそもそもの土の量が少ないことがあります。
そのような場合は、花壇土など土を購入して足した方が良いでしょう。
マルチ張り(まるちはり)
マルチ張りも元肥入れ作業完了後~植え付け当日までに出来ていればOKです。
マルチとはポリマルチの略語で、分かりやすくいうと畑でよく見かける野菜が植わっているところに敷かれている黒や透明などのビニールです。
幅や長さの違うものが販売されていますので、自分の畑にしたい場所を測ってから購入しましょう。
マルチを張る目的とメリットは
- 土壌の乾燥を防ぐ
- 雨や水やりによる泥はね防止と病気予防
- 地温を上げ下げすることで生育を早める
- 雑草が生えにくくなる
- 雨などによる肥料の流出を防止
- 害虫予防
こちらも初心者こそやってほしい作業です。
まずポリマルチを先程作った畝にかぶせます。
次に畝の外周の溝にポリマルチをしっかりと敷き、土をかぶせていきます。
その時にポリマルチをピンと張るのがコツです。
ただ、土をかぶせるよりも簡単な資材があります。
それはマルチ抑えという専用のピンです。
これを使うと簡単にポリマルチを張ることが可能です。
面倒くさい作業ですが、マルチを張るのと張らないのでは栽培、収穫に大きな違いが出てきますのでぜひやってください。
トンネルかけ
トンネルかけの作業は苗を植えるのと同時に行います。
トンネルかけに関しては栽培する野菜によって使用します。
トンネルかけとは畑にトンネルのようなアーチ状の網をかぶせることで、主に害虫予防と保温効果を目的として行われます。
トンネルかけに必要な野菜は防虫対策効果を目的にした場合、主にキャベツやレタス、ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワー、ホウレンソウ、コマツナなどの葉物野菜です。
葉物野菜はすぐ虫に食べられてしまうので気をつけてください。
保温効果を目的として使う場合は冬のダイコン栽培などです。
ミニトマトやナス、キュウリ、ピーマンなどの春~夏栽培の野菜には使用しません。
まとめ
■理想的な土作りの順番
- 土の耕作・・・タネまき・植え付けの2~3週間前まで
- 土壌酸度調整・・・タネまき・植え付けの2週間前まで
- 元肥入れ・・・タネまき・植え付けの1週間前まで
家庭菜園で最も重要なことは水やりでも肥料でもありません。
なんだと思いますか?
ズバリ「土作り」です。
実は土作りは家庭菜園だけの話ではなく、プロの生産量さんである農家の方々が最もこだわって行っていることで、
畑の土によって味がガラリと変わるくらい重要なことなんです。
また完全無農薬なのに害虫が全くこない畑づくりをしている方など兎にも角にも、野菜栽培では「土作り」が重要です!
今回ご紹介した内容は土作りの基礎のキソ、最低限、野菜栽培を始めるのに必要な内容ですのでぜひ実践してみて下さい。
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