アンスリウムの花が咲かない理由と年中咲かせ続ける育て方のコツ
アンスリウムを一年中咲かせ続けている私が花が咲かなくて困ったいるあなたのために、年間を通して花を次から次へと咲かせ続けるコツを紹介します。
※赤・ピンク・緑・白などアンスリウムの“花”は植物学的には花ではなく「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる「葉」です。私たちはアンスリウムの場合、葉を“花”として鑑賞しています。水芭蕉と同じですね。
もくじ(タッチすると移動します)
温度・湿度・肥料の不足と日照条件(栽培している場所)が悪いから
ズバリ、花が咲かない理由は
- 温度(室温)が低い
- 湿度不足
- 肥料不足
- 置き場所の日照条件(栽培している場所)が悪い
からです。
もちろん、肥料の与え過ぎや植え替えしてないことで根詰まりを起こしているからなど、他にも原因はあるのですが、初心者が育てる上で花が咲かない理由はほぼ「温度」「湿度」「肥料」「日照」が原因です。
自生地の環境を再現すれば花は咲く
アンスリウムが自生している環境を再現してあげれば当然順調に花を咲かせることが可能です。
私たちがごく一般的に栽培しているアンスリウムは600種類以上ある原種の中の「アンドレアナム」という種です。
同じアンスリウムでも種類によって若干栽培方法が異なりますが、そうはいっても基本はだいたい同じ。熱帯の高温性の植物でありマイナス0℃でも越冬するような種はありません。
まず、アンスリウムの生育特徴を知りましょう。
- 高温多湿を好む
- 熱帯雨林の樹木に着生している
- 弱光下が適している
アンスリウムは高温多湿を好む
アンスリウムの原産地(自生地)は南米コロンビア共和国。
熱帯性気候であり年間降水量は1500㎜~3000㎜、年間平均気温17~24度以上です。熱帯地域で育つコーヒーやバナナなどの生産で有名なのもわかります。
年間を通して高温で雨が多いということは湿度も高いということです。
野生では熱帯雨林の樹木に着生している
私たちが鉢物として栽培しているアンスリウムから想像するに、野生でも地面から生えていると思いがちですが、実は違います。
自生地では背の高い樹木に着生しています。コチョウランなどと同じで気根(きこん)という根を出し樹木にくっついている、あるいは絡まったり垂れ下がったりしています。
ちなみに株の途中から出ているのが気根。写真では黒っぽいですが若い気根は白いです。
気根の役割は空気中の水分を吸収したり、樹木に寄生するためや株全体を支える役割があると言われています。
弱光下が適している
日光もダイレクトに当たるのではなく、うっそうとしとしたジャングル中で樹木に着生しているため、わずかに当たる木漏れ日で生育しています。
要するにこれらアンスリウムの自生地の環境の特徴を再現してあげれば、家庭でも上手に花を咲かせることが可能になります。
アンスリウムの花を年中咲かせ続ける育て方のコツ
- 室温を15℃以上に保つ(20℃以上だと尚良い)
- 湿度を50~60%に保つ
- 肥料を定期的に与える
- 日の当たるレースのカーテン越しで栽培
アンスリウムは原則、葉っぱ1枚につき花芽1つが付きます。
そのため葉っぱの数だけ花が咲くのですが、鉢植えの場合「温度」「湿度」「日照」に問題があると必ずしも葉1枚につき花1つ咲くとは限りません。
室温を15℃以上に保つ(20℃以上だと尚良い)
一般的に、冬越しできる温度は最低10℃以上と言われていますが、開花に必要な温度は15℃以上です。
20℃以上あれば尚良いですが、室内犬を飼っているなどエアコン等を1日中つけっ放しにしていないと、なかなかずっと暖かい室温を維持するのは難しいです。
後ほど説明しますが、アンスリウムは本来熱帯のジャングルに自生している高温性の植物です。
しかし、日本では沖縄などを除き、秋以降最低気温も15℃を下回るため屋外で栽培することは難しいです。
サンルームやコンサバトリー、温室などがあるおうちではうまく栽培できている人も多いようですが、そのような設備のあるおうちは少ないですよね。
また室内でもずっと暖房を付けていれば良いですが、外出や就寝時には切るため室温は15℃を下回ることも多いと思います。
だから多くの人がアンスリウムの花を咲かせられないんですね。
ですが、反対に秋冬でも室温を15℃以上保てば花を咲かせられる環境は整います。
湿度を50~60%に保つ
栽培に適した湿度は最低45%以上、ベストは50~60%弱です。
アンスリウムは高温多湿の熱帯ジャングルに自生していることから、高温だけではなく湿度も高い環境が好きです。
日本では冬になると空気が乾燥し、外気だけでなく室内の空気も乾燥しがちです。
つまりアンスリウムにとっては育ちにくい環境です。
湿度対策として以下2つの方法があります。
加湿器をそばにおく
私の場合は秋以降の部屋の乾燥対策として加湿器を置いています。アンスリウムのためというよりは、どうせ設置するならアンスリウムの近くにしようという感じにしています。
加湿器がそばにあれば湿度50~60%は確実に保てます。
霧吹きをする
加湿器を置けないのであれば、霧吹きをすることで湿度を保つことが可能です。
葉に霧吹きをすることを葉水(はみず)あるいは専門用語で「シリンジ」と言います。
アンスリウムやコチョウラン、コウモリランのような樹木に着生して生きている植物は空気中の水分を吸収しており、霧吹きによって同じ状態を再現できます。
霧吹きによって湿度を保つ理想的な方法はアンスリウムのそばに湿度計を置き、湿度50~60%が保たれているかどうかを常に確認して栽培することです。
肥料を定期的に与える
水やりをしているけど肥料を与えていない人は意外と多いのではないでしょうか。
アンスリウムを購入したときには生産の段階で固形肥料など肥料が土に入っています。
しかし肥料にも持続期間があり、早いもので1ヶ月、長くても3ヶ月程度で効果が切れます。
鉢植えの植物というのは水やりのたびに肥料が流れ出るので、追加で肥料を与えないと植物は栄養不足になります。
植物は水だけで育つと思っている人もいると思いますが、肥料がないと育ちません。
肥料は私たち人間の「食事」に当たり、栄養素を吸収するために欠かせないものです。
肥料には3大要素であるチッ素(N)・リン酸(P)・カリ(K)があります。
特に葉を鑑賞する観葉植物に必要な肥料成分は「チッ素成分」です。葉肥(はひ)とも呼ばれています。
葉の成長を促進させるので、観葉植物栽培によく使われます。
アンスリウムの花を咲かせるためには株が元気な状態である必要があります。やはり花を咲かせるためにはエネルギーが必要なんですね。
なので、花を咲かせるためには固形肥料や液体肥料を定期的に与え続けて下さい。
用法用量は肥料のパッケージに記載されているのでそちらを確認して下さい。だいたい固形肥料の場合は1ヶ月に1回、液体肥料の場合は水やりを合わせて2週間に1回ペースで与えます。
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ちなみに、冒頭でも言いましたが一般的に「アンスリウムの花」だと思っているのは「葉」です。
植物の花や実を付けさせるのに必要な成分は「リン酸(P)」なのですが、アンスリウムの場合はチッ素(N)・リン酸(P)・カリ(K)の中でチッ素成分の割合が多い観葉植物用の肥料を与えましょう。
南向きの日の当たるレースのカーテン越しで栽培
置き場所は日の当たるレースのカーテン越し。
できれば南向きのお部屋に置けると良いです。
熱帯雨林の樹上の代わりに最も近いのが日の当たるレースのカーテン越しです。
太陽光は当たるけど直射日光ではないことが重要で、例えば真夏など日光が当たり過ぎると葉が焼けてしまい適していません。
一方、電光では花を咲かせるのには足りません。そのため窓のないオフィスなどでは生育はしますが花が咲くまではいかないと思います。
最近、太陽光を再現できる植物育成ライトというものが販売されていますが、私は使ったことがないのでそれによってアンスリウムの花が咲くかは実証していません。
花が咲かないその他の原因
- そもそも株質が悪い
- 根詰まり
- 肥料不足
- 水のやり過ぎ
- 水のやらなさすぎ(過乾燥)
- 病気による等
花が咲かない原因は今までずっと挙げてきた「温度」「湿度」「日照」のほかにも複数あるのですが、
初心者の方がアンスリウム栽培でつまづくのはその他の原因よりも圧倒的に「温度」「湿度」「日照」の問題が多く、これらを守った上でそれでも花が咲かない場合にその他の原因を疑うべきです。
アンスリウムの花を咲かせるのは本来難しいこと
アンスリウムは春夏など暖かい時期に栽培するのは容易なのですが、秋冬は難しくなるということを覚えておいてください。
やはり外出中や就寝時には部屋の暖房を切るご家庭が多いですよね。そうすると真冬の室温は0℃近くまでなることもあるでしょう。北海道や東北など北日本ではもっと低くなると思います。
なので雪が降ろうが関係なく生き生きとしているユッカなどと違い、アンスリウムは温度だけでなく湿度まで考えなくてはいけないので初心者向けの観葉植物ではないんですね。
はっきり言って湿度を保つために霧吹きを吹く作業は初心者向けではないです。
ユッカやサンセベリアのようなほとんど世話をしなくてもいいのが初心者向けの観葉植物です。
それを踏まえるとアンスリウムの花を咲かせるのは初心者にはとても難しいことなんです。
コチョウランやバンダのような着生ラン栽培が難しいのと同じです。
お祝いでもらったコチョウランを次の年も咲かせている人ってとても少ないです。
だから初心者がアンスリウムの花を咲かせられなくても当然です!
しかし、今回ご紹介した花を咲かせるコツを抑えれば初心者でも花を咲かせられる条件はそろいます。
難しいですがぜひチャレンジしてみて下さい。
最後にもう一度アンスリウムの花を年間通して咲かせ続けるコツを紹介しておきます。
- 室温を15℃以上に保つ(20℃以上だと尚良い)
- 湿度を50~60%に保つ
- 肥料を定期的に与える
- 日の当たるレースのカーテン越しで栽培
※アンスリウムの花や葉が枯れる原因と対処法はこちら>>>
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