【画像解説】アンスリウムの育て方!初心者が簡単に栽培できるコツ
アンスリウムといえば、赤いハート型をした花を咲かせる観葉植物が有名ですよね。
南国、トロピカルをイメージさせるのにピッタリな植物です。
この記事はアンスリウムの育て方についての概要です。
観葉植物初心者の方のために、
- アンスリウムっていったいどんな植物で、
- どうやって育てたら良いのか?
- どうやって成長するのか?
をまとめています。
栽培する中で湧いてくる具体的に疑問については、所々で別記事を紹介しています。
この記事ではとりあえずアンスリウムの育て方の流れについて確認してみてください。
もくじ(タッチすると移動します)
アンスリウムの基本情報
学名 | Anthurium andreanum |
語源 | anthosaura(花) +oura(尾) ギリシャ語で尾のような花 |
英名 | flamingo lily oilcloth flower |
日本名 | 大紅団扇(オオベニウチワ) |
分類 | 非耐寒性多年草 |
科名 | サトイモ科 |
属名 | アンスリウム属 |
花期 | 周年 |
原産地 | コロンビア |
花言葉 | 情熱、煩悩 |
日当たり | 半日陰(レースのカーテン越し) |
冬越し温度 | 最低10℃以上 |
植え替え時期 | 5~9月 |
繁殖方法 | 株分け |
一口にアンスリウムといっても原種は600種以上あります。
その中で私たちが観葉植物として楽しんでいる種類は数種類しかなく、最も代表的なのが赤や緑を始めとした鮮やかな花を咲かせるアンスリウム・アンドレアナム(Anthurium andreanum)です。
アンドレアナム種のさらに園芸品種である
- レッド・チャンピオン( ‘Red Champion’)
- グリーンキング(‘Green King’)
- アラスカ(‘Araska’)
など様々な色の品種が流通しています。
私たちがお花屋さんやホームセンターで見かける鮮やかな花を咲かせているのはアンドレアナム種の園芸品種たちです。
※園芸品種とは鑑賞用として品種改良されたもの。
その他、アンスリウム・アンドレアナム(Anthurium andreanum)以外に流通しているアンスリウムには以下のような種類があります。
以下は1.2.を除きどちらかというと“花”ではなく葉を楽しむ種類です。
原種だったり、園芸品種だったり色々です。
- アンスリウム・セリゼリアナム(Anthurium scherzerianum)
- ヒメアンスリウム(Anthurium andreanum‘Compactum’)
- アンスリウム・クラリネルビウム(Anthurium clarinervium)
- アンスリウム・マグニフィカム(Anthurium magnificum)
- アンスリウム・スカンデンス(Anthurium scandens)
- アンスリウム・ジャングルブッシュ(Anthurium Jungle Bush)
- アンスリウム・ジャングルキング(英名Anthurium Jungle King、学名Anthurium crassinervium)
- アンスリウム・フーケリー(Anthurium hookeri)
正直なところ、6~8番あたりは区別がつきません。
アンスリウムの花の構造
仏炎苞(ぶつえんほう)
一般的に私たちがアンスリウムの“花”だと思っているのは、花ではありません!
仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる苞(ほう)です。
苞(ほう)とは蕾(つぼみ)を包むように葉が変形した部分のことで、苞葉(ほうよう)ともいいます。
つまり、私たちが花だと思っているのは仏炎苞(ぶつえんほう)という葉が変化したものなんです。
仏炎苞と呼ばれる理由
この仏炎苞というのはサトイモ科の植物に特有のものなのですが、なぜ仏炎苞と呼ばれるのか?
それは形が光背(こうはい)に似ているからです。
光背とは仏様が発する光を視覚化したものなので、後光がさすなんて言わるあの後光と同じです。
実際に写真をみればわかります。
こちらが光背。
どうですか?この光背の形と仏炎苞が似ていますよね?
ちょうど真ん中の肉水花序を仏様にたとえると、仏炎苞が光背にあたります。
肉水花序(にくすいかじょ)
肉水花序(にくすいかじょ)とは1つ1つの花が集まって、主軸が肉厚に膨らんでいるものを指します。
花序とは花の配列状態のこと。
肉水花序はサトイモ科の植物に特有の花の並び方で、アンスリウムの場合は真ん中の棒状のものです。
花
本当のアンスリウムの花は肉水花序を形成するボツボツした1つ1つの点です。
拡大すると少しわかるでしょうか?
青く囲ったところが本当のアンスリウムの花です。
花びらが4枚あり、おしべは4本、めしべが1つあります。
ふつう“花”といわれたとき、私たちの多くは赤白黄色のチューリップのようなものを想像しますが、これも立派な花です。
アンスリウムの花はとても地味ですね。
花の咲きはじめから終わりまで
※この記事では以下より植物分類上、間違っていますが、分かりやすくするために仏炎苞を“花”として解説します。
花芽が出る
株の根元から花が咲く芽(花芽)が出ます。
開花
赤い花に見える仏炎苞の部分は開きましたが、黄色い棒状の肉水花序はまだ小さく硬いです。
真ん中の肉水花序が伸びて、花(仏炎苞)が開くと完全な“開花状態”になります。
花粉が出始める
1ヶ月~1ヶ月半くらい経つと中心にある肉水花序が白っぽくなってきます。
これは1つ1つのブツブツである花のおしべから花粉が出ている証拠です。
アンスリウムは子孫繁栄のために種を作ろうとします。
つまり、受粉の始まりです。
変色
花粉が出るのと前後することもありますが、花(仏炎苞)の色が変色してきます。
今回は赤い品種なので時間の経過とともに暗褐色(あんかっしょく)になっています。
種(タネ)ができる
受粉が終わり、白い粉がこぼれる様になった後、花の中で種(タネ)が作られます。
花だったものが種(タネ)に変わると言った方が正しいですね。
凸凹していたものが大きくなり、さらにこれが熟すと種(タネ)になります。
ちなみに種(タネ)を水苔などの湿った場所に巻いておくと発芽します。
アンスリウムを種(タネ)から増やすのもおもしろいですね。
写真を見てもらうとわかりますが、仏炎苞の色も赤色から暗褐色になり、だいぶ退色しています。
もう花(仏炎苞)の見ごろは終了なので、仏炎苞の茎を根元から切って下さい。
置き場所
アンスリウム栽培に最も適している場所は室内のレースのカーテン越しです。
俗に言う“半日陰”というやつですね。
なぜこの半日陰が良いのかというと、原生地の環境に近いからです。
アンスリウムの多くは原生地ではうっそうとした森の中の樹木に絡まっています。
そのためガンガンに日が当たらない木漏れ日です。
高温多湿を好み、花を咲かせるには年間を通して15℃以上を保つ必要があります。
詳しい花の咲かせ方は>>アンスリウムの花が咲かない理由と年中咲かせ続ける育て方のコツをご覧ください。
水やり
育て方の本には“表土が乾いたら水を与えて下さい”と書かれていますが、初心者はどの状態が乾いているかわかりませんよね。
例えば3日に1回水やりをして4日目に表面が乾いても、たいていの場合鉢内は湿っています。
日課のように毎日水を与えると腐るので、室内であれば1週間に1回~2週間に1回程度で十分です。
冬期は1ヶ月に1回くらいでも大丈夫です。
アンスリウムは高温多湿を好む植物です。
原生地であるコロンビアなどのジャングルに生息しています。
そのため水をたくさん与えた方が良いと考えがちですが、実は違います。
アンスリウム属のうち観葉植物として代表的なアンスリウム・アンドレアナムなど、多くは着生植物(ちゃくせいしょくぶつ)といって大きな樹木に絡まったり、岩に付いたりして生きています。
代表的なものにコチョウランやデンドロビウムなどの洋ランがあります。
着生植物は根が土の中にどっぷり植わっていません。
では着生植物がどのようにして水分を得ているのか?というと、雨や霧です。
気根(きこん)という空中に出ている根(下図青枠)から吸収します。
気根は樹木に着生するために株を支える役割もありますが、水分吸収の役割も果たします。
樹に絡まって生きている植物は土に植わっている植物と違い、すぐに水分が乾きます。
つまり、常に土が湿っていてはいけないということです。
肥料
肥料は固形タイプと液体タイプの2種類がありますが、春に固形タイプのものを与えるか、春から夏にかけて定期的に液体肥料を与えるといいです。
アンスリウムは観葉植物に分類されるため、葉の成長を促すチッ素成分の比率が多い肥料を与えることをおすすめします。
一般的に“花”を咲かせるためにはリン酸成分の比率が多い肥料を与えるのですが、冒頭で解説した通りアンスリウムの“花”は花ではありません。
葉です。
そのためチッ素成分の比率が多い肥料を与えます。
詳しいことが分からなくても、観葉植物用の肥料を選べば問題ありません。
とりわけ液体肥料の観葉植物用として販売されている肥料はチッ素(N)ーリン酸(P)ーカリ(K)のうち、チッ素成分が多めになっています。
土
アンスリウムの植えるのに最も簡単で手っ取り早いのはピートモスやヤシ殻をメインに配合されている観葉植物用の土です。
観葉植物用の土にもベースに使っているものが違うので必ず、ピートモス等をベースとしたものを選んでください。
ちなみにピートモスとは水苔などの植物が堆積し石炭になったもので、通気性・保水性・保肥性が高いです。
また自分で配合したい場合は赤玉土中粒5:ピートモス3:軽石または日向土2の割合で作ってください。
水苔のケース
アンスリウムには購入時にすでに水苔に植えられた状態のものもあります。
なぜ水苔が使われているのか?というと、繰り返しますが原生地のアンスリウムは熱帯雨林のジャングルにある大木に根を絡まる等して生きています。
水苔は通気性が良く、乾きやすい性質を持っているからです。
ただ、個人的には水苔よりもピートモスやヤシ殻をメインに配合されている観葉植物用の土を使用するのが簡単かつ実用的だと思います。
植え替え
アンスリウムの植え替え時期は5月~9月までですが、おすすめは5月か10月です。(※東京・大阪など中間地を基準)
アンスリウムは高温多湿を好む植物のため、暑さには強いのですが、植え替えとなると話は別になります。
根をいじるため多少株にダメージが与えられます。
ですが、5月や10月は成長期の中でも気温が高温過ぎないため回復しやすいです。
一方、7~9月は気温が35℃を超える猛暑日も多く、暑さによって根もダメージを受けています。
そのため回復力が遅いです。
ですので、暑すぎない5月か9月後半が植え替えにおすすめです。
やり方は、鉢から株を取り出し、一回り大きいサイズの鉢に植え替えます。
根がガチガチにがんじがらめに固まっていなければ、特に根は崩さなくて良いです。
必ず、一回り大きいサイズに植え替えましょう!
よく、大は小を兼ねるといって、以前植わっていた鉢よりも3倍、4倍大きいサイズの鉢に植え替える人がいます。
しかし、株の大きさに対して鉢が大きすぎると水やりをしたときに乾きが遅くなり、過湿状態になって根腐れの原因になります。
株分け
株分けの時期は植え替え時期と重なりますが、おすすめは5月です。
5月は気温も20℃前後になり夏に向けて段々と気温が上がる時期です。
アンスリウムのような観葉植物にとって5月は株分け、植え替えの適期です。
植物の株分け=人間でいう手術に当たります。
植え替えでは必ずしも根をいじる必要はありませんでしたが、株分けでは必ず根を崩します。
そのため根がダメージを受けるので回復するのに十分な期間が必要です。
Q&A
ここからはアンスリウムを栽培する上で起こる具体的なお悩みについてQ&A形式で回答します。
Q:アンスリウムの花が咲きません!咲かせるコツは?
A:>>アンスリウムの花が咲かない理由と年中咲かせ続ける育て方のコツ
Q:アンスリウムの葉が黄色くなる理由は?
Q:アンスリウムの花や葉が枯れる原因を教えてください。
Q:アンスリウムの葉が小さくなってきました原因は何ですか?
Q:アンスリウムの花にブツブツができてキモチ悪いのですが病気なの?
A:>>凸凹!アンスリウムの花にできたボツボツしたイボは病気?
Q:花がいつまで経っても赤くなりません。なぜですか?
A:>>アンスリウムが赤くならない理由|緑や薄ピンク・白いまま
Q:アンスリウムを使って玄関周りをきれいに飾りたいです!
A:>>南国風の観葉植物を使ってトロピカルガーデニング装飾をするコツ
まとめ
以上がアンスリウムの育て方に関する概要です。
この記事内容を中心に栽培してもらい、育てていく中で“花が咲かない”とか“葉が黄色くなった”など具体的な悩みが出てきたら、上記のQ&Aの記事を参考にしてみて下さい。
アンスリウムは冬の温度と湿度さえ守れれば、枯れること無く何年も育てることが可能です。
以前、当サイトにご質問くださった方は10年以上同じ株を育てているとのことでした。
近所の園芸店の店主の方も「そんなに長く育てているケースは聞いたことがない!」と驚いていたそうです。
この方はとても育てるのが上手いケースですが、プロの生産者ではなくこのように
趣味レベルでも不可能ではないことが証明されたので、
ぜひ大きく成長させてみたい方はチャレンジしてくださいネ!
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