葉ばかり茂って花が咲かない理由|チッ素肥料を与え過ぎてないのに!
よく、葉ばかり茂って花が咲かない原因として「チッ素肥料の与え過ぎ」という回答がありますが、敢えてチッ素成分の多い肥料を与えた覚えがない人がほとんどではないでしょうか。
チッ素成分を多く含む肥料といえば油粕や観葉植物用の肥料ですが、初心者が一般的な花や野菜を育てる場合、
固形肥料であれば化成肥料、液体肥料であれば「ハイポネックス原液」や「花工場原液」など、
多くの草花に利用できる“ふつう”の肥料を使っていると思います。
つまり、あえてチッ素成分の多い肥料なんて使ってないのになぜ葉ばかり茂ってしまうのか?わかりませんよね。
そこで、この記事ではチッ素(N)・リン酸(P)・カリ(K)の成分比率のバランスがほぼ同じの一般的な肥料を使っているのに、なぜ葉ばかり茂ってしまうのか?
なぜ「チッ素肥料の与え過ぎ」になるのか?その理由について詳しく解説します。
もくじ(タッチすると移動します)
植物の成長は主に2つに分けられる
- 栄養成長・・・茎を丈夫にしたり葉をたくさんつける体の基礎作り
- 生殖成長・・・花や実をつけて子孫を残すための体力づくり
栄養成長と生殖成長
植物はなぜ花を咲かせ実を付けるのか?というとそれは私たち人間を楽しませてくれるためでもなく、
景色に彩りを加えるためでもなく、自分の子孫を残し種を絶やさない「子孫繁栄」のためです。
そのために茎の伸ばし葉を増やし、たくさんの花を咲かせ実をつけタネを作り、鳥に運ばせてフンとして落ち、また別の場所から芽を出すという子孫繁栄のサイクルを維持しようとしています。
植物の成長過程は栄養成長(えいようせいちょう)と生殖成長(せいしょくせいちょう)の2つに分けることができます。
栄養成長とは茎を伸ばし適切な太さになり、枝分かれをして光合成によって養分を得るためにたくさんの葉を付ける成長を指します。
一方、生殖成長とはそのあとの話。花や実を付けるにはエネルギーがいります。
そのため栄養成長によって基礎体力が付いてから花や実をつける成長が始まります。
この過程で今まで葉になる芽(葉芽)しか出ていなかったのに、花になる芽(花芽)が出始めることを花芽分化(はなめぶんか)と呼びます。
栄養成長と生殖成長のバランスが崩れると成長が上手く行かなくなる
栄養成長と生殖成長はどちらか一方が優れていれば良いというわけではなく、両方ともバランスが取れていなければなりません。
ここで、栄養成長にて茎が太すぎてしまったり葉が茂り過ぎてしまうと、
生殖成長にて花付きが悪くなる、花が咲かない、実付きが悪い、小さくなる、実がならない、しっかり花は咲いたのに実になる前に枯れてしまうなどの現象が起こってしまいます。
つまり、葉の成長を促すチッ素成分が効いてしまうと葉が茂り過ぎる状態になり、花が咲かない結果になります。
これがチッ素成分を与え過ぎすると葉ばかり茂る原理です。
しかし、ここで1つ疑問が残ります。
チッ素(N)・リン酸(P)・カリ(K)の成分比率のバランスが整った一般的な肥料を与えているのにも関わらず、なぜ「チッ素肥料の与え過ぎ」になるのか?です。
それは植物の成長には栄養成長と生殖成長の2種類が段階的にあり、茎や葉が育つ栄養成長によって基礎体力が出来上がったら、
ある時を境に花や実を付ける生殖成長に変わりますよね。
いくらチッ素・リン酸・カリの成分比率のバランスが整った肥料を与えても、植物はまず最初に茎や葉が成長するため、この段階でそれを促す肥料に含まれているチッソ成分やカリ成分が過度に加わると、余計に茎や葉が成長してしまいます。
これが別にチッ素肥料だけを与えたわけでもないのに「チッ素肥料の与え過ぎ」と言われる理由です。
では、葉ばかり茂って困っているとき、花芽がつくためには何か条件があるのでしょうか?
花を咲かせるにはどうすればいいのか?について見て行きます。
花芽がつきやすくなる方法
C/N比(しーえぬひ)というものがあります。
これは炭素率といって植物体にある炭素(C)量とチッ素(N)量の比率を表しています。
植物体にある炭素(C)って何か?というと例えば糖・でんぷんを代表とする炭水化物です。
この2つの割合の大小によって花芽が付きやすい、花芽が付きにくいに分かれます。
- チッ素(肥料やアミノ酸に含む)< 炭水化物(糖・でんぷん)⇒花芽がつきやすい
- 炭水化物(糖・でんぷん)< チッ素(肥料やアミノ酸に含む)⇒葉ばかり茂る
要するに、植物の体の中で炭水化物(糖・でんぷん)がつくられる量よりも、チッ素成分が少ない状態であれば、花芽が付きやすい=花が咲きやすいということになります。
なので、幼い苗を植えた直後から毎週毎週、液体肥料などをじゃんじゃんやっていると、
花芽がつく成長段階前に植物体にチッソ成分が増えてしまい、それが炭水化物(C)(糖・でんぷん)の生成を超えてしまうと、葉ばかり茂ってしまうんです。
※もちろん、花芽がつきやすい条件はこれだけではなく、そもそも花芽ができやすい栄養が行き渡った健康な株に成長しているのかや日の長さや寒さに当たるかどうか、水分が少ない方が花芽ができやすいなど植物によっても異なります。
まとめ
この記事ではチッ素肥料だけ多く与えてないのに葉ばかり茂って花が咲かない理由についてお話しました。
植物生理学の話なので少し複雑で難しい内容ですが、要は「肥料は適切な時期に正しい分量を与えましょう」ということです。
肥料はボトルや袋のパッケージを見ても分かりにくいことがあり、少々面倒くさいため、つい目分量で与えてしまいがちです。
たくさん花や実を咲かせ収穫したいからといって肥料をたくさん上げれば良いというものではありません。
しっかり守って肥料を与えれば自分の思い通りの栽培・収穫に近づきますのでのでぜひ実践してみて下さい。
トマト栽培特集!
イチゴの月別!栽培方法
10月のイチゴの育て方! 栽培管理と作業 | |
11月のイチゴの育て方! 栽培管理と作業 | |
12月1月のイチゴの育て方! 栽培管理と作業 | |
冬のイチゴの育て方! 2月の時期の作業と栽培方法 | |
3月のイチゴの育て方! 栽培管理と作業 | |
4月のイチゴの育て方! 栽培管理と作業 | |
5月のイチゴの育て方! 栽培管理と作業 | |
6月のイチゴの育て方! 栽培管理と作業 | |
7月8月のイチゴの育て方! 栽培管理と作業 | |
9月のイチゴの育て方! 栽培管理と作業 | |