パプリカの育て方|プランター栽培で初心者が収穫する方法
「パプリカ 花が咲いたら 晴れた空に種を蒔こう
ハレルヤ 夢を描いたなら 心遊ばせあなたにとどけ♪」
パプリカという野菜が有名になった曲ですが、実際に栽培して収穫したことがある人はまだまだ少ないと思います。
この記事では実際に私が育てた写真を使いながら、初心者向けのパプリカのプランター栽培のコツを記しています。
ぜひ参考にしてみて下さい。
もくじ(タッチすると移動します)
パプリカの栽培基本データ
科名 | ナス科 |
食用部分 | 果実 |
生育適温 | 23~30℃ |
発芽適温 | 25~30℃ |
スタート方法 | タネ、苗 |
株サイズ | 幅60㎝ 高さ70~80㎝ |
病害虫 | アブラムシ、ハダニ、うどんこ病、青枯病など |
パプリカもピーマンもシシトウもタカノツメもみんなトウガラシの仲間です。
ただ、パプリカは大果種といって実が大きくなるタイプの品種、
京波など普通のピーマンは中果種といって小果種であるタカノツメのようなトウガラシよりは大きくジャンボピーマンやパプリカよりは小さい中サイズを指します。
トマトとミニトマトの違いと同じです。こちらはどちらも「トマト」という名前が入っているので区別がしやすいですが、パプリカとピーマンは全く別の野菜のように感じるため混乱しがちです。
ちなみにピーマンはフランス語でトウガラシを表す「piment(ピマン) 」、パプリカはハンガリー語でトウガラシを表す「paprika(パプリカ)」が由来なので、同じ野菜なんですね。
パプリカとピーマンの違い
パプリカもピーマンの仲間なのですが、便宜上以下のように呼ばれています。
- 未熟果の緑色の中果種=ピーマン
- 完熟果の大果種=パプリカ
色に注目してもらうと分かりやすいのですが、いわゆる緑色の苦いピーマンは完熟前の状態だから緑色なんです。
緑色のピーマンも収穫せずに放っておくと、赤く熟します。
以下の記事後半にて緑色のピーマンが赤くなる様子を公開しています。
>>畑栽培のピーマンの育て方|庭の家庭菜園で初心者ができる方法
で、パプリカも成り初めは緑色です。
そして品種によって赤になったり黄色になったりします。
パプリカの栽培時期と収穫までの流れ
地域 | 植付け | 収穫 |
中間地(関東甲信・東海・近畿・中国・九州北部) | 4月下旬~6月上旬 | 6月上旬~10月中旬 |
北海道・東北 | 5月下旬~6月中旬 | 7月初旬~9月下旬 |
四国・沖縄・九州南部 | 4月中旬~5月下旬 | 5月下旬~10月下旬 |
寒冷地・中間地・暖地の区分
中間地・・・関東甲信、東海、近畿、福井県、中国、九州北部
暖地・・・・四国、九州南部、沖縄県
用意するもの
- 苗
- 培養土(肥料配合済み)
- 鉢底石(排水システムがあれば不要)
- プランター 直径30㎝×深さ30㎝ 容量15ℓ以上
パプリカの主な品種
品種名 | 特徴 | 種苗会社 |
フルーツピーレッドEX | 果重120g程度の大型種で開花後約60日の完熟果を収穫 | タキイ種苗 |
フルーツピーイエロー | 果重120g程度の大型種で開花後約60日の完熟果を収穫 | タキイ種苗 |
ガブリエル赤/黄 | 果重100g程度で細長く糖度が高い。開花後約75日で収穫 | 日本デルモンテアグリ |
ジャンボカラーピーマン | 果重100g以上になり辛みはない | カネコ種苗 |
ビバ・パプリコット赤/黄 | 果重80g程度の小ぶりな品種 | 日本デルモンテアグリ |
スイートカメレオン・ミニ | 果重40~50gで紫→オレンジ→赤色変わりするミニ品種 | トキタ種苗 |
鈴なりパプリカらんらん | 早生品種で1株100個程度の収穫が可能 | カネコ種苗 |
ちびパプ | 果重40~60g(パープルのみ15~40g)のミニ品種(レッド、ゴールド、オレンジ、パープルの4種がある) | 丸種 |
パプリカ栽培が緑のピーマン栽培より難易度が高い理由
初心者にとってパプリカ栽培はピーマン栽培よりも難易度が上がると言われれています。
ピーマンは基本的に早取りといって開花後15~20日を目安に果実が大きくならない緑色のうちに収穫します。
早く収穫することで株を疲れさせずに長期間収穫することが目的です。
一方、パプリカやジャンボピーマンは果実が熟していくと色づくので、収穫までにはさらに15~20日必要です。
つまりパプリカは開花後1~2ヶ月が収穫の目安になります。
栽培期間が長いことがポイントです!
栽培期間が長いということはそれだけ収穫までの間に害虫被害にあったり病気被害に遭うなど、色々な障害を乗り越えなければなりません。
次から次へと収穫できるわけではないので初心者には少し難しいかもしれません。
そこが中果種の緑色のピーマン栽培と大きく異なる点です。
苗選び
■苗選びのポイント
- 収穫したい色の品種を選ぶ
- 葉色が濃いもの
- 節と節の間(節間)が詰まっているもの
- 蕾か花が付いているもの(5月以降)
- 双葉が残っているとよい
パプリカの苗選びでまず、大事なことは自分が収穫したい色の品種を間違えずに選ぶということ。
パプリカの苗と書かれていてもそれが「赤いパプリカ」なのか「黄色のパプリカ」なのか、しっかり確認して購入して下さい。
親切な苗の場合、苗が植えられているビニールポットが赤い品種は赤色のビニールポット、黄色い品種は黄色のビニールポットのように分けられています。
そして、もう一つ大事なことはパプリカの苗を購入する時期です。
ミニトマトやナスなどの苗よりも少し遅く出回りますが、花芽が付いている、あるいは白い花が咲いている苗が流通するまで待ってからでも遅くありません。
だいたい5月初旬~6月上旬にかけて出回りますが、6月近くになれば花芽が付いている苗が多く売られています。
花芽が付いているということは、必ずその花は実になることを意味します。
初心者の場合、確実に実がなることが分かってから栽培することで栽培難易度を下げることができます。
苗の植え付け
パプリカの原産地(ピーマンの原産地)は南米で生育適温は23~30℃と高温性の野菜です。
ですので植え付け時期は5月中旬以降でお願いします。
早すぎると寒さで幼苗が弱り枯れてしまうこともあります。
私の場合は、ホームセンター等でパプリカの苗を見つけたら早めに購入して置き、花芽が付くまで植え付けはしません。
風よけ用の囲いなども販売されているのですが、わざわざリスクをおかしてまで早く栽培スタートしなければならない理由はないので、
ビニールポット苗の状態で管理し、花芽が付いたところで植え付けます。
苗の管理は苗が水切れしないように観察し、丁寧な水やりなどをして管理すればいいのですが、初めてパプリカを栽培する場合、毎日水やりをするなど、手を掛け過ぎて逆に苗を枯らしてしまうこともあると思います。
なので、花芽が付いた苗が出回るまで待つか、あるいは失敗してもいいように例えば赤黄2つの苗を購入し、苗の管理にチャレンジしてみるのも良いです。
苗の植え方については次の記事を参考にしてください。
>>プランター野菜の植え方|家庭菜園初心者が出来る手順と方法
支柱立て
支柱の太さ18~20㎝
パプリカは高さ60~80㎝くらいにまで成長する野菜です。そして、果実も大きいですから株全体を支えるためにも太めの支柱を使いましょう。
株の元から10㎝程度離したところに支柱を立てます。
着蕾(ちゃくらい)
着蕾(ちゃくらい)という日本語は無いですが、当サイトでは“つぼみがつくこと”という意味で便宜上使っています。
下写真をご覧ください。小さい緑色の花芽が付きました。
少しずつですが、蕾が膨らんできました。
少しずつ膨らんできます。
平べったいですが、これがだんだんと形になってきます。
ピーマンよりも丸っこいですよね。
さて、ここでクイズです。
パプリカが色付くのは上からだと思いますか?それとも下からだと思いますか?
正解は後半で!
開花(かいか)
緑色の小さい蕾がから白い花を咲かせます。
パプリカの花色は=白色です。
赤い実がなる品種も黄色い実がなる品種も花はすべて白色。
わき芽かき・整枝(せいし)
ミニトマトでは必ず行う作業のわき芽かきですが、パプリカの場合も少しだけわき芽かきは行います。
真っ直ぐ伸びて成長している茎に一番最初に花が咲いたら、それよりも下にあるわき芽2つだけを残し、それより下にあるわき芽は全て摘み取ります。
この作業を整枝の3本仕立てと言います。
主の茎1本+下のわき芽2つ=合計3本の茎が成長するからです。
なぜ整枝をする必要があるのか?というと、方々に伸びてしまうと花芽は付きますが、その分養分も分散してしまい、葉も小さくなってしまったり、実も小さくなる、あるいは成らない、収穫量が少ないなどマイナス要素が多くなります。
なので、必ず整枝作業はしてほしいです。
水やり
真夏は朝夕2回涼しい時間帯に水やりをしてください。
ただ、5月、6月などはまだ気温が高くなく、毎日機械的に水やりをしていると土が乾く時間がなく、根の吸収力が弱まります。結果、水分過多になり根腐れします。
反対に、下写真のようにここまで水切れさせてしまうと、株に負担がかかります。
完全にしなびてますね。
ちなみにこの写真を撮影したのは8月です。
土の表面もカラッカラに乾いてしまっています。
できればここまでなる前に株の様子をチェックし、水やりをして下さい。
そしてしっかり水やりをして、シャキッとしている健康な状態がこちら
水分が足りているので葉もピンと張っています。
色も青々としているのがわかりますよね。
水を与え過ぎてもいけませんが、真夏など高温度によって鉢土がすぐに乾いてしまう季節は過乾燥に気を付けて下さい。
害虫対策
パプリカに付いてしまう害虫は他の野菜と同様、アブラムシやハダニ、カメムシなどがいます。
特にアブラムシは梅雨時期に大量に発生しするので、できればそうなる前に天然由来成分の殺虫剤を散布しておくと良いです。
おすすめは「アーリーセーフ」です。
害虫対策は害虫が発生してから対応するのではなく、発生する前に対策を打つ方が得策です。
大原則としてプランター周りの風通しを良くしておくことが大切ですが、それでも被害に遭う可能性が高いので注意して観察しましょう。
病気対策
害虫対策と同じく、風通しの良い環境に置いて育ててほしいのですが、こちらも事前に天然由来成分の殺菌剤を散布しておくと良いです。
天然由来成分の殺虫殺菌剤はヤシ油やでんぷんの粘着性を利用して、病害虫を防ぎます。
ただ、一般的な殺菌剤よりは効果が弱いので、絶対に無農薬栽培するのであれば病気にかかるのも覚悟の上で栽培しましょう。
その代わり100%安心安全な自家栽培の野菜を収穫することができます。
追肥(ついひ)
追肥(ついひ)とは文字通り追加で肥料を与えることです。
ピーマンに限らず野菜は実を成らせるためにエネルギーを使います。
エネルギーを作るためには光合成を必要としますが、それだけでは足りません。
スペースが限られているプランターでは肥料を追加していかないと、水やりと同時に減っていくため植物の成長とともに追肥は必ずしなければいけません。
特にパプリカは赤や黄色に熟してから収穫する野菜なので、普通のピーマンよりも倍の期間株に実を付けた状態で育てる必要があります。
だからこそ、実が付いてから収穫するまで液体肥料なら2週間に1回、化成肥料なら月1回を目安に与えて続けて下さい。
収穫
さて、先ほどパプリカの実は上から色付くのか?それとも下から色付くのか?クイズを出しました。
下写真の通りパプリカは上から色付きます。
今回私は黄色いパプリカを栽培したので当然黄色く変色していますが、赤いパプリカ品種なら緑色から赤く変色します。
こんな感じで黄色くなる部分が増えていきます。
黄色くなり始めると3日も経てばどんどん変わっていきますよ。
8割くらい黄色くなってきましたね。でもまだ下の方が緑色です。
こちらの実はまだ側面が緑色ですね。
そして開花してから60~70日で完全に色付きます。
とっても綺麗な黄色に変色しました!
つやつやして新鮮です。
果実が全体的に色付いたらヘタの部分をハサミで切り取りましょう。
あまり長くならせ過ぎていると、果実も茶色く腐ってきますし、株にも負担がかかるので適切な時期を逃さないように!
ちなみに赤や黄色になる前の緑色の段階で収穫しても食べられます。
調理
パプリカと豚肉とニンニクの芽でチンジャオロース(青椒肉絲)を作ってみました。
とても甘くて美味しかったですよ!
パプリカならば苦いピーマンが苦手なお子さんでも食べられる可能性があるので、ぜひ栽培してみてはいかがでしょうか。
パプリカのプランター栽培のコツ
- わき芽かき作業をする
- 一番果、二番果は若採りをする
- 追肥を忘れず与え続ける
この記事では家庭菜園、ベランダ菜園初心者の方のために、プランターのパプリカ栽培について写真を使いながら順を追って紹介してきました。
苦い緑色のピーマンと違い、トータルの収穫量はパプリカの方が少ないですが、時間をかけて完熟するまで追肥を切らさず育てることで発色の良い甘いパプリカを収穫することができます。
スーパーに行くととっても大きいパプリカが販売されていますが、ほとんど韓国産のもので日本国産のパプリカは数も少なく値段も高いですよね。1つ300円くらいするはずです。
そんなパプリカを自宅のベランダで、完全無農薬の有機栽培することも可能です。
お子さんにも人気のパプリカ。
「パプリカ 花が咲いたら 晴れた空に種を蒔こう
ハレルヤ 夢を描いたなら 心遊ばせあなたにとどけ♪」
ぜひ記事を参考に栽培してはいかがでしょうか。
尚、パプリカよりも簡単な緑色のピーマン栽培についてはこちらをどうぞ
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