マリーゴールドの花束の作り方|最新の切花用品種も紹介
TBS系列にて10月11日(金)よる10時からスタートする“4マリ”、金曜ドラマ「4分間のマリーゴールド」公式サイトにて女優の菜々緒さんが持っているマリーゴールドの花束(ブーケ)作って再現したのでご紹介します。
もくじ(タッチすると移動します)
マリーゴールドの花束を作ってみた
- 花束の形状:ラウンドのクラッチブーケ/ナチュラルブーケ※
- 使用本数:15本(菜々緒さんが持ってるブーケは多分20本位)
- 使用品種:メガオレンジ、アフロオレンジ
- 予算:300円/本×15本=4500円
※ クラッチブーケやナチュラルブーケというのは結婚式で花嫁さんが持つブライダルフラワーの種類の1つで、主に茎がリボン等で覆われず、自然のそのまま状態(=茎が見えている)で束ねているものを指します。
マリーゴールドは4つに分類できる
マリーゴールドといっても大きく4つに分類することができます。
- アフリカン・マリーゴールド Tagetes erecta
- フレンチ・マリーゴールド Tagetes patula
- メキシカン・マリーゴールド
- レモン・マリーゴールド
フレンチマリーゴールド
最も一般的なのはよく公園の花壇などに植栽されているフレンチマリーゴールドです。
このタイプは夏に花壇や寄せ植えに使う花苗の定番です。
茎が短く、色はオレンジや黄色・クリーム色、赤系のオレンジがあります。
基本的にフレンチマリーゴールドは花束用の種類ではなく土に植える植栽用がメインです。
アフリカンマリーゴールド
花が大きく、オレンジと黄色、クリーム色で、主に花束やアレンジメントなど切花用として使われている種類です。
近年は花壇などへの植栽用苗も販売されいます。
メキシカンマリーゴールドとレモンマリーゴールドはフレンチマリーゴールドやアフリカンマリーゴールドと比較するとかなりマイナーな植物です。
花束に使えるアフリカンマリーゴールドの切花用品種
花束やアレンジメントなど根が付いていない状態で使うマリーゴールドのことを切花用(きりばなよう)といいます。
切花用マリーゴールドはバラやユリなど他の花と比較してまだまだ流通量が少なく、品種もごくわずかです。
これは生産者さんが少ないことを意味しています。
今回私が実際に大田市場にて仕入れた品種を紹介します。
メガオレンジ
今回、花束に使ったメインの品種です。濃いオレンジ色です。
ジャイアントオレンジ
メガオレンジよりは、ぼてっと感が少ないかも。
アフロオレンジ
アフロというネーミングが付いているだけあって、丸みがしっかりしています。
アフロイエロー
アフロオレンジの兄弟。明るい黄色系のアフリカンマリーゴールドの品種です。
アフロゴールド
アフロシリーズ。アフロイエローよりも濃い黄色です。
ソブリン
切花用マリーゴールドといえば「ソブリン」というくらいメジャーな品種です。
ホワイトバニラ
クリーム色のマリーゴールド。白に近いマットなクリーム色です。
ノーセントライトグリーン
ライムグリーン色と言われていますが、見え方としては黄色に近い明るいクリーム色といった感じです。マリーゴールド独特の青くさい野趣あふれた香りがなく無臭なのも特徴の1つです。
ライムグリーン
愛知県豊橋農協さんからの品種です。まだ新しい品種なのかちょっとわからないのですが、今紹介したノーセントライトグリーンよりもグリーン味がかった黄色系です。
ルセットゴールド
同じく愛知県豊橋農協さんからの品種です。先ほどのライムグリーンと比べるとマットな黄色です。からし色っぽい色ですね。
マリーゴールドは夏の花ですが、10月、11月の深い秋の花束などにも似合いそうな色味でした。
マリーゴールドの花束の作り方手順
まず、花束を作る前の下準備作業です。
マリーゴールドは水揚げ(みずあげ)という水を吸わせる作業をしても割と水が下がりやすいため、葉を少し取ったあと新聞代できつく巻きます。
茎を下から1㎝ほどカットし、100℃の熱湯に30秒ほど漬けます。
そのあとバケツに張っておいた水につけ2時間ほど放置して下さい。
そして新聞紙を取り「水揚げ(みずあげ)」作業完了です。
花束を作る準備が整ったので、さっそく花束制作に取り掛かります。
マリーゴールドはもともと水が下がりやすい花のため、葉が2~3日で汚くなります。
またラウンドの花束を作る場合、マリーゴールドの葉がついている位置が下過ぎて作りにくいため、葉は全て取ります。
マリーゴールドのラウンド花束は作るのが難しい
原因は花が大きく重いのに対して花のすぐ下付近の茎が細いため、折れやすいから。
こんな風に簡単にポキっと折れます。
マリーゴールドでラウンド(円形)の花束を作る場合、花が大きいためたくさん重ねていくとどうしても外側に広がっていくに従って、花首のすぐ下の茎がたわんできます。
こういう場合、本来はレモンリーフなど別に葉っぱを茎と茎の間に入れてクッションを作ることで、茎を折れにくくしつつ広がりを持たせられるのですが、4分間のマリーゴールド公式サイトにて菜々緒さんが持っているブーケ>>には葉っぱが入っていません。(まぁ見えないようにすることも可能だと思うのですが今回そこまでやってないですm(__)m)
そこで葉っぱを入れずにマリーゴールドの茎が折れないようにするには、ワイヤリングという方法を使います。
ワイヤリングする
ワイヤリングとは折れやすい茎を補強したり、花を自由自在に扱うための技術で、専用ワイヤー(針金)を花にさしたり巻いたりします。
まず、花首にワイヤーを横にさします。
次に逆U字になるように左右のワイヤーを下に折ります。
そうしたら片方のワイヤーをもう片方のワイヤー&茎ごと巻きます。
こんな感じになります
使用する本数分このワイヤリング作業を行います。
この後本来はテーピングという作業があります。フローラルテープという専用テープを使ってワイヤーごと茎に巻いていくのですが、花屋さんの仕事なので詳しくは省略します。
束ねる
まず最初に中心になる花を選びます。花の形状が均一で茎が太いものが良いでしょう。
3本束ねた状態がこちら
そして6本目を入れた状態がこちら
ちなみに花束をきれいに作るにはスパイラルという特殊技術が必要になります。
花屋さんは皆出来るのですが、初心者さんにはなかなか難しいです。
一応YouTubeにてスパイラルのやり方を紹介しておきます>>こちら
斜め横から見るとこんな感じ。
上から見てラウンド(丸く)になっているかどうか確認しながら15本~20本入れていきます。
うまく丸くなっていたら完成です。
マリーゴールドの香りは青くさい
マリーゴールドはキク科の一年草なんですが、花だけでなく茎、葉など一言でいうと青くさいです。
個人的には好きな香りなんですが、ほとんどの人は苦手な匂いかもしれませんね。
マリーゴールドの根にはテルチオフェンという有機化合物が含まれていて、野菜を栽培したときに根に寄生するネコブセンチュウという害虫の発生を防ぐ効果があります。
そのため野菜栽培の前後にマリーゴールドを植えることがあります。
このように野菜などを害虫から守ったり、成長を助ける植物のことをコンパニオンプランツと言います。日本語に訳すと共生植物(きょうせいしょくぶつ)
このマリーゴールドもコンパニオンプランツの1つです。
切花用マリーゴールドはアレンジメント向き
今回、マリーゴールドのクラッチブーケ(ナチュラルブーケ)を作ってみましたが、短いラウンドブーケの花材としては使いづらかったです。
どちらかというと、茎が長めの花束かもしくはカゴに花を生けるアレンジメント向き、あとはブライダルブーケ制作で使われているブーケホルダーに挿して使うと簡単です。
アフリカンマリーゴールドは頭が重いので仮に花束にしても持ち運び中に花首だけ折れてしまう可能性が高い気がしました。
でも、グリーンを使えばマリーゴールドの花束は簡単!
第一話にて菜々緒さん演じる沙羅の誕生日に福士蒼汰さん演じるみことが贈ったマリーゴールドの花束を再現してみました。
ハーブゼラニュームなどグリーン(葉っぱ)を入れることで花束は格段に作りやすくなります。
また先程説明したグリーン無しのブーケのようにワイヤーを使う必要がなにので簡単に作れます!
それではさっそく作り方を紹介します。
花材
・マリーゴールド「アフロオレンジ」 10本
時代はアフロ型でしょうか。ドラマで使われているのもおそらくこちらの品種だと思われます。
・ハーブゼラニューム グリーンOR斑入り葉 10本
マリーゴールドと同じくハーブゼラニュームも独特の香りをもっています。
斑入り葉(ふいりば)は色がキレイ!
花材の下準備
マリーゴールドの葉は割とすぐにしおれやすく汚くなりがちです。
そのため葉を9割ほど取り除きます。ハーブゼラニュームも下葉は取ってしまいます。
花を束ねていく
まず、スパイラルという花束作成スキルを使って3本組んでしまいます。
そうすると茎と茎の間にすき間ができるはずです。マリーゴールドの茎はゴツゴツしているのでわかりやすいですね。
そしてこの間を埋めるためにハーブゼラニュームを入れます。
どんどんマリーゴールドとハーブゼラニュームを入れていきます。
このようにグリーンを入れることで花が引き立ち、ふんわり感が出ます。
そもそも自然界では花と葉はセットですから合わないわけがありません。
今までは濃いグリーンのハーブゼラニュームを使っていましたが、次は斑入りのハーブゼラニュームを入れたバージョン。
葉の色が明かることでだいぶ優しい印象に変わりました。
花束の作り方は以上ですが、せっかくなので濃緑色と斑入りのハーブゼラニューム両方を入れて、このままラッピングまでやってみましょう。
マリーゴールドの花束をラッピングする
2種類のグリーンを入れたのでボリュームも多くなりました。なので本当ならもう5本くらいマリーゴールドも入れてあげるとバランスがよくなるはずです。
さて保水を始めますが、その前に花束の作り方の技術として、茎をらせん状に組むスキル=スパイラルにすると以下の写真のようになります。
らせん状に組むことでたくさんの花を入れることができ、また持ちやすいです。
>>花束-スパイラルのコツ|花屋さんが教える飛躍的に上達する花束の作り方
保水処理
まず、保水のためにステムティッシュで茎を覆います。
花束を作成、もしくは購入して即花びんに入れるなど水につけるまでの時間が短いのであれば、保水する必要はないのですが、ギフトの場合はどうしても水につけるまでの時間が長くなります。
そこでステムティッシュという専用のもので保水します。キッチンペーパーでも構いません。
そしてビニール袋で巻き、上からアルミホイルで覆います。
お店によってはビニール袋を省くところもありますが、アルミホイルだけだと水漏れする確率が高まるのと、ビニール袋の方が保水量を増やせるので安心です。
ラッピングする
ラッピングに関してはペーパー素材や色も沢山ありますが、マリーゴールドはバラなどのような豪華な花を比べると粗野な花です。
またオレンジ色はレントリッヒ(独語 ländlich)で田園、田舎(の)などのイメージを与えるためラッピングもそれに沿ったものが相応しいと考えます。
なのでドラマ第一話でも出てきましたが、マリーゴールドの花束はクラフト紙など無地の茶系色が合います。
英字の茶紙でくるりと巻いてラフィアで結んで完了です。
そして完成形がこれ。
4マリでマリーゴールドの花束が広まってほしい
今から20年前には切花用マリーゴールドなんて目にすることはありませんでした。
マリーゴールドを花束やアレンジメントに使うこと自体がなかったんですね。
においも青くさいのでギフトで贈ろうという発想もなかったんだと思います。
でも、今回「4分間のマリーゴールド」のおかげでマリーゴールドの花束が広く知られるようになると思います。
マリーゴールドの花言葉は他のサイトでも触れているように「絶望」などあまり良い意味ではありません。オレンジ色のマリーゴールドの花言葉は「生きる」ということで、4分間のマリーゴールドの意味に即しています。
このドラマには福士蒼汰さん、菜々緒さん、横浜流星さん、桐谷健太さんなどテレビ、映画、CM、雑誌などメディアで見ない日はないくらいの人気俳優さんが出ており、注目度が高くなると思います。
マリーゴールドというお花にも注目が集まり、日本全国のお花屋さんでマリーゴールドの花束の注文が増えてくれると業界人としてはうれしい限りです。
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