畑栽培のピーマンの育て方|庭の家庭菜園で初心者ができる方法
自宅の空いているスペースを畑にしたり、市民農園など畑を借りるなど家庭菜園初心者でも簡単に地植え栽培できるのがピーマンです。
この記事では私の自宅の庭を耕してピーマン栽培をした記録をコツと共に紹介しています。
夏から秋まで長期に渡って収穫できるのでぜひ参考にしてください。
もくじ(タッチすると移動します)
ピーマン栽培基本データ
科名 | ナス科 |
原産地 | 中米・南米 |
食用部分 | 果実 |
連作障害 | あり(3~4年空ける) |
スタート方法 | タネ・苗 |
栽培期間 | 5~6ヶ月 |
土壌酸度 | pH6.0~6.5 |
生育適温 | 23~30℃ |
発芽適温 | 25~30℃ |
株サイズ | 幅60㎝ 高さ70~80㎝ |
株間 | 45~50㎝ |
列間 | 60㎝ |
畝幅 | 120㎝(2株植え) |
病気 | うどんこ病、青枯病、モザイク病、疫病など |
害虫 | アブラムシ、ハダニなど |
ピーマンの栽培時期と収穫までの流れ
地域 | 植付け | 収穫 |
中間地(関東甲信・東海・近畿・中国・九州北部) | 4月下旬~6月初旬 | 6月初旬~10月中旬 |
北海道・東北 | 5月下旬~6月中旬 | 7月初旬~9月下旬 |
四国・沖縄・九州南部 | 4月中旬~5月下旬 | 5月下旬~10月下旬 |
寒冷地・中間地・暖地の区分
中間地・・・関東甲信、東海、近畿、福井県、中国、九州北部
暖地・・・・四国、九州南部、沖縄県
ピーマン栽培で用意するもの
- クワ
- スコップ(ショベル)
- 土壌酸度計
- 苦土石灰など
- 完熟牛ふんたい肥
- 肥料(元肥)(化成肥料/有機質肥料)
- ポリマルチ
- ピーマン苗
- 支柱
- 肥料(追肥用)(固形肥料/液体肥料)
- 殺菌殺虫剤
- 噴霧器
- 園芸用ハサミ
- 散水用ホースリール/ジョーロ
ピーマンの主な品種
品種名 | 特徴 | 種苗会社 |
京みどり | 濃緑色、果肉が薄くて柔らかい | タキイ種苗 |
京ひかり | 耐ウイルス病、低温期でも良く育つ | タキイ種苗 |
京なみ | 耐根腐れ病、肉厚で収穫量多い | タキイ種苗 |
京まつり | 極濃緑、着果性が良い | タキイ種苗 |
翠玉二号 | 高温乾燥に強く果実40g大 | サカタのタネ |
デカチャンプ | ソフトボール大で苦みが少なく甘くて肉厚 | サカタのタネ |
若穫りグリーンホルンン | 苦み少なく甘くて肉厚、着果良好 | サントリーフラワーズ |
若穫りライムホルン | フルーティーな甘さ、秋まで収穫可能 | サントリーフラワーズ |
家庭菜園向けに販売されているピーマンはいくつかありますが、いわゆる誰もが想像できる“苦みのある緑色のピーマン”はタキイ種苗さんの「京シリーズ」です。
ピーマンの植え付け前の準備
- 菜園スペースを決める
- ピーマンの土作り
- 土壌酸度調整(どじょうさんどちょうせい)
- 元肥入れ(もとごえいれ)
- 畝立て(うねたて)
- マルチ張り
家庭菜園初心者にありがちなのが、苗を買ってきていきなり植えてしまうことです。
畑栽培で大切なのは「土作り」です。どんなにいい苗や肥料で栽培しても肝心な土が悪いと育つものも育ちません。
初心者こそしっかりとやってほしいので必ず以下の記事を読んでから苗選びの項目に進んでください。
>>家庭菜園の土作りの順番を初心者に解説!庭の空き地を畑にする方法
ピーマンの苗選び
さて、土作りが完了したら苗選びです。
苗選びのポイントは以下です。
- 接ぎ木苗を選ぶ
- 茎が真っ直ぐなもの
- 葉色が濃い
- 病害虫の被害に遭っていない
- 花のつぼみが付いている
ピーマン苗にはタネから育てたみ実生苗(みしょうなえ)と病気に強い品種等と接合した接ぎ木苗(つぎきなえ)の2種類が販売されています。
ピーマンは白い花を付けるので、良い苗選びのポイントの1つに“花が咲いているもの”などが挙げられていますが、実際に花が咲いている苗は5月中旬、6月以降じゃないと売っていません。
そのため現実的に4月の時点で花のつぼみが付いている苗を購入することは不可能なので、接ぎ木苗であったり、茎が真っ直ぐしている、葉色が濃いなど丈夫そうな苗を選ぶことが大切です。
もし、自分が初心者で判断が付かないのであれば売り場の店員さんに選んでもらうと良いでしょう。
苗の管理
4月に出始めた苗はどれも細く心配になりますが、購入だけして4月末~5月初旬のGW中あたりに植え付けると良いです。
ピーマンの原産地は中米、南米の温かい地域です。
だから35℃を超える日本の酷暑でも元気に育つわけですが、反対に寒さには弱いです。
なので初心者は4月の上旬、中旬は避けて、4月後半以降、5月に入ってから植え付けることをおすすめします。
ゴールデンウイークの長期連休中は最適です。
ピーマンの苗は6月でも販売されているのでこの時期から栽培スタートしても秋まで十分すぎる量を収穫できます。
植え付け(うえつけ)
GWが明けて花のつぼみが咲いた頃に畑に苗を植えます。畑に地植えの場合はプランター栽培と違って株も上にも横にも大きく成長します。
そのため隣の株との間は45~50㎝ほど開けて下さい。
マルチに空いた穴に苗を植えます。このときの注意点として苗を深く植えすぎないことです。
また浅すぎてもダメです。
ビニールポットに入っているときの苗の根元の高さとマルチが張ってある畑の土の高さと水平になるように植えます。
ビニールポットを逆さまにして苗を取り出し、植え付け、ジョーロにて株の根元に水をたっぷりあげて作業完了です。
支柱立て(しちゅうたて)&茎の誘引(ゆういん)
植え付けたばかりの時はまだ苗も幼く弱々しいため、割りばしなど細めの棒を立てても良いのですが、あっという間に成長するので私の場合は最初から長めの本支柱を立てます。
本支柱とは長さ200㎝~、太さの直径16~18㎜くらいの園芸用支柱のことで、ホームセンター等に行けば売っています。
その支柱を先程植えた苗の株元から10㎝以上離れた場所に真っすぐ/やや斜めにして立てましょう。
苗が成長してくると支柱に止めないと苗が倒れたり折れたりします。
それを防ぐために麻ひもなどで茎を支柱に結び付けなければなりません。
ただ、現在は茎と支柱を留める洗濯バサミのような便利グッズが販売されています。
これであれば茎を傷めることもありませんし、どんどん成長する細い茎を簡単に支柱に固定することができます。
ちなみにピーマンの茎はトマトほど暴れません。もちろん放置しておくと絡み合って茎と茎が混雑し、通気性が悪くなるので病気の発生原因になってしまうのですが、途中で切れば大丈夫です。
着蕾(ちゃくらい)
着蕾とはつぼみが着くこと。ちなみに着蕾という日本語はありません。中国語で「つぼみ(蕾)」を意味しますがここでは便宜上つぼみが着くという意味で使っています。
順調に成長すると先端は白く根元が緑色の小さなコブのようなものが出来ます。
これがピーマンの蕾です。
花が咲いたあと緑色の実がなります。
わき芽かき
ピーマンのわき芽かきはトマトのわき芽かきと比べとても簡単です。
一番最初に花が咲いたら、そこより下の茎の部分から左右1つずつ出てくる2本だけわき芽を残し、さらにそれより下から出てくるわき芽はすべて取ってください。
これで主の茎+左右1本ずつ合計2本のわき芽を伸ばすことで株全体として合計3本の茎になります。
これが「3本立て」という栽培方法です。
開花(かいか)
つぼみが開き始めました。
ピーマンの花はこのように白い花です。
着果(ちゃっか)
花が終わりしぼんでくると今度は実になろうとします。
ここからの注意点として1番最初に成った実(一番果)と2番目になった実(二番果)は大きくなるまで成長させず、長さ4~5㎝未満のうちに収穫して下さい。
なぜかというと、一番最初の実を大きく成長させてしまうと養分がそのために奪われてしまい、株の成長に回すはずの養分が足りなくなります。なるべく株の成長に養分を回したいため、一番最初に成った実はとってください。
それにより株が丈夫に育ち、結果的に秋まで長く収穫することができます。
水やり
ピーマンは丈夫な野菜ですが、真夏を除き毎日のようにじゃぶじゃぶと水をあげていると枯れます。
水やりに関してはピーマンの株の様子をみてあげるのが正解です。
具体的にいうと、ピーマンの葉は水が足りているときは割とシャキッとしており、だらしなくありません。
そして水が不足してくるとこんなふうに葉がやわらなくしんなり下向きになってきます。
もととも中南米原産の野菜なので比較的乾燥には強い野菜なのですが、水を好みます。
次から次へと実がなるため養分と水分をたっぷりあげることが大切です。
ピーマンの株を毎日よく観察することが枯らさない水やりのコツです。
順調に成長してきました。
追肥(ついひ)
追肥(ついひ)とは追加で肥料を与えることです。4月以降に植え付けてから10月中頃まで栽培期間は6ヶ月くらいになります。
苗を植え付けた際に元肥(もとごえ)を入れましたが、肥料の効果はだんだんと切れてきます。
そのため植え付け2週間後くらいから2週間に1回くらいのペースで追肥をしましょう。
1回目の追肥は苗を植え付けたマルチの穴に3g程度与えて下さい。そして2回目以降は少し大掛かりな作業になりますが、マルチの端をめくり、畝周り1周に30g/㎡ほど追肥して下さい。
なぜ株元じゃなくてマルチをはがしたところにまくのかというと、根は株の真下だけではなく左右にも広がって伸びています。
そのため畝周りにまくことで方々に広がっている根の先端から肥料を吸収されやすくするためです。
土寄せ(つちよせ)
土寄せ(つちよせ)とは畝(うね)に土を盛り直すことです。2回目の追肥作業と同時に行う作業です。
最初に畝を高く整えて苗を栽培しても、成長する中で土も硬くなったり、風雨によって崩れたりなどします。ですのでマルチをはがして追肥作業をするとき、肥料をまんべんなく混ぜるのと同時に株元に少し土を盛る(寄せる)ことをしてください。
そうすることで株をしっかりと支えることができ、さらに大きく成長することができます。
害虫対策
ピーマンが嫌いな子供さんが多いように害虫もあまりピーマンが好きではありません。つまり害虫被害に遭う回数が少ない野菜の1つです。
もちろん、アブラムシやハダニなど多くの野菜に被害を与える害虫はもれなくピーマンにも付きますが、キャベツやニンジンなどのように害虫によってすべて食べつくされてしまったなどという被害は出にくいです。
ピーマンの害虫対策として私がやっているのはミニトマト栽培で同じくやっている天然成分由来のオーガニック殺虫剤を散布することです。私は住友化学園芸から販売されている「アーリーセーフ」を使っています。
殺虫剤にもたくさん種類がありますが、やはり植物由来の方が安心です。
植物由来といってもどういう仕組みで害虫が駆除されるのかというと、ヤシ油のベタベタした成分が害虫を窒息させたり、卵に浸透して孵化する前に駆除する仕組みです。
収穫直前でも散布できるので安心です。
病気対策
青枯病や疫病などかかってしまったら株ごと焼却処分しなければならない厄介な病気もありますが、ピーマンは比較的病気にも強い野菜です。
栽培期間が長いため、葉が茂ってくると風通しが悪くなり病気が発生する原因にもなります。
そうならないためにも、まずは株と株の間はしっかり空けるなどの対策をしておきましょう。
そして梅雨時期を過ぎたあたりからアブラムシなどの被害に遭う確率が高いので、定期的に株全体に噴霧器などで害虫対策のときにも紹介した天然由来成分の殺菌剤を散布しましょう。
下葉取り
茎の下の方の葉が黄色くなってきたら、次のようにきれいに取り除いてしまって構いません。
むしろ残しておくと病害虫の発生原因にもなるので株元は風通しよく清潔にしておきましょう。
収穫(しゅうかく)
収穫の目安ですが、実の長さが6~7㎝くらいの大きさになったら、ハサミを使って枝と実のヘタを切り離して収穫していきましょう。
ピーマンはどんどん実ができるのであまり、1果が大きくさせず小ぶりくらいで収穫して行ってもいいです。
その方が株が疲れないからです。
収穫が遅くなると色が赤くなる
緑色のピーマンがなる株に赤いピーマンがなっています。
ところでなぜ、ピーマンは緑色なのか知っていますか?
それは完全に成長しきれていない未熟果(みじゅくか)だからです。
実は私たちが知っている緑色のピーマンは青い酸っぱいみかんと同じで、まだ熟していません。
だから苦いわけなのですが、実は緑色のピーマンも収穫せずに放っておくと緑色がだんだん茶色味がかってきます。
緑と赤が半分ずつになってきました。
最終的形態はきれいに赤くなります。
味はパプリカと同じように甘いです。
ちなみに赤いパプリカも若い実は緑色です。それが熟すと赤くなるんですね。
繰り返しますがピーマンは緑色のサイズ直径6~7㎝の若い実を収穫するのがベストです。
ただ、10月に入りいいかげん緑色のピーマンには飽きた方など“赤いピーマン”を見てみたい方は試してみても良いですね。
10月のピーマン株の様子
私は関東圏に住んでおりますが、10月に入ってもまだこの調子でピーマンの実が成り続けています。
豊作なのでここでピーマン料理を1つ紹介します。
調理
ピーマン料理といえば「肉詰めピーマン」や中華でお馴染みの酢豚や青椒肉絲(チンジャオロース)、焼きそばの具材など私たちの毎日の献立のは欠かせませんが、今回は“鶏肉とピーマンのザーサイ炒め”を作ってみました。
レシピ
株の後片付け(かぶのあとかたづけ)
10月に入ってもまだまだ収穫できるのですが、私はさすがにピーマンに飽きてきたので株の片付けをしました。
まずは枝葉をハサミで切り、マルチを剥がします。
スコップで掘り上げたピーマンの根です。
土も大分固くなりごろ土になっていますね。
引き続きイチゴやホウレンソウなどの葉物野菜を栽培したい場合は、また最低でも土を改良するのに2~3週間ほど開けなければいけません。
チューリップやクロッカス、ヒヤシンスなど花壇として活用することもできますが、少し時間をおいて年明け2月上旬~ジャガイモを植えたり、あるいは来春まで何も植えずたい肥を入れたりして畑の土を休ませておいてもいいでしょう。
Q&A
Q:ピーマンの花が咲かずに落ちてしまいます
Q:ピーマンの実が曲がるのはなぜですか?しわも寄っています
まとめ
ピーマンの畑栽培のコツ
- 一番最初に花が咲いたらわき芽かきをする
- 一番果、二番果など実を早く収穫する(若採り)
- 栽培期間が長いので追肥をし続ける
ピーマンは初心者でも春から秋まで長期間に渡って栽培できる野菜です。病気や害虫にも強いため育てやすい!
そのためには畑の土作りからきちんとやる必要があります。
ほかにも家庭菜園初心者でも簡単に栽培できる野菜にミニトマトやナスがありますのでぜひチャレンジしてみて下さい。
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