【バラの挿し木と育て方のコツ】初心者でも成功確率を上げる方法

庭に植わっているバラを増やしたい!
花屋さんで売っている鉢では出回っていな珍しい切り花品種のバラを増やしてみたい!
お友達に分けて頂いたバラの枝を挿し木したい!
挿し木をしてみたいけど、どうやってやるのかわからない!
挿し木に挑戦するけどいつも失敗してしまう!などバラを挿し木で増やしたい人は多いと思います。
国際バラとガーデニングショウなどに行くと毎年新品種が出ているバラですが、必ずしもすべての品種が鉢植えとして流通しているわけではありませんし、希少品種の場合は手に入れようと思っても困難なことがあります。
そこで、今回は初心者でもできるだけ失敗しない、成功確率を上げられるバラの挿し木方法を実際に私が行った実験結果を基にお伝えしたいと思います。
もくじ(タッチすると移動します)
鉢植え・庭植えバラと花屋で買った切り花は挿し木できる?
結論から言うと両方可能です。
挿し木(さしき)とはバラの茎(=枝)の一部を専用土に挿して根を出させ増やすこと。
根の付いていない茎(=枝)から根の付いているバラ苗を作ることができる素晴らしい方法です。
バラの挿し木をする際、一般的には鉢植えや庭植えされているバラ苗から行われることが多く成功率も高いです。
一方花屋さんで販売されている切り花から挿し木をすることは難しいとされており、実際に難易度は高いです。
なぜかというと1つは切り花の場合、農家さんで採花されてから市場に出荷され、花屋さんの店頭に置かれるまで最短でも3日程かかります。
しかもあなたが頂いたり購入した花が必ずしも最新入荷の花とは限らず1週間くらい花屋さんの冷蔵庫で保存されている花の可能性もあります。
つまり、根のない状態で長時間経過していることになります。ご存知のように植物は根から水分や栄養分を吸収して生きています。根のない状態が長ければ長いほどパワーが落ちているんです。
ですのでその状態で挿し木をしても力不足で枯れてしまう確率が高いのです。反対に庭植えや鉢植えのバラは根付きの状態なので切っても即挿し木できるため元気な状態のまま生育することができます。
しかし、そんな漠然とした世間の常識を打ち破るために今回花屋さんで売られている根なしの切り花を使って挿し木をする実験をし成功させました。庭植え・鉢植えのバラであれば成功率はもっと上がります。
バラの挿し木手順
時期
まず、バラの挿し木を成功させるには時期が大切です。庭植えや鉢植え、年間手に入る切り花であっても挿し木をする時期は適期として梅雨と秋口の2つあります。気温20~30℃以内が適温。
- 5月末~6月スタート→7月に根が付く
- 9月中旬~10月スタート→11月に根が付く
※ちなみに室温20℃以上、湿度50~60%、室内の日の当たるレースのカーテン越しのような場所(真夏の直射日光が当たる場所は不可)で管理すれば年間通して挿し木は可能です。
準備道具
- 葉付きのバラの茎(=枝)
- コップ
- カッターナイフORミニナイフ
- ハサミ
- セルトレイ(大) ※鉢など代用可
- バーミュキュライト(小粒)
- 受け皿(ステンレス角バット等)※無くても可
バラの茎(=枝)を用意する
今回は切り花品種である品種「オレンジジュース」「カラルナ」「ヤギグリーン」「ラロック」の4種類を挿し木しますが、花屋さんで買う場合は入荷したてで茎・葉ともシャキッとしたものを買いましょう。挿し木をしたい事情を話せば選んでくれると思います。
私は現役の花屋なので仕入れたばかりのバラを使用していますが、先にお話したように花屋にある花=新しい花とは限らないため切り花の市場(月・水・金)のある当日の夕方か火・木・土の朝一にある花は入荷したての花である可能性が高いです。
ですが、すべてのお花屋さんが月・水・金に仕入れに行っているわけではないので事前にそのお店の仕入れ日を聞いておくと良いでしょう。
写真のように葉っぱがついている節(ふし)の上で10㎝位の長さで3つくらいに切り分けます。
挿し木にする茎(枝)のこと挿し穂(さしほ)といいますが、挿し穂に適しているのは細すぎず太すぎない直径3~5ミリ程度の太さのあるものが良いです。
先端の若い細すぎる部分だと発根は早いですがその後の成長が遅く、逆に根元付近の古い部分は根が出るのに時間がかかりますが、発根後は活着が良く大きく成長させることができます。
挿し穂の切り口を斜めに切る切り方
切り口付近の葉っぱも取り、挿し穂の切り口をカッターもしくは小型のナイフで写真のように裏面、表面両方とも斜めに切り(クサビ形ともいう)、断面積を広げることによって水を吸いやすくします。
挿し穂についている葉っぱを写真のように半分~2/3ほど切り、水の入ったコップに1時間ほど漬け、水を吸わせます。
葉を切る理由は葉が多いと蒸発する水分量も多く、力も使うため発根する前に枯れる確率が上がってしまいます。
もったいないと思うかもしれませんがいずれにしろ新芽が出てきますので心配いりません。
土(バーミュキュライト)をセルトレイに敷き詰める
挿し木に使う土には「挿し木・挿し芽専用土」や「川砂」「小粒の鹿沼土、赤玉土」「ロックウール」等がありますが、私がお勧めするのは「小粒のバーミュキュライト」です。
バーミュキュライトとの中にも目が粗いものと目が詰まったものがあるのですが、小粒の方が目が詰まっており、挿し穂を挿したときにぐらつかず発根しやすいです。
セルトレイはホームセンター等園芸コーナーで販売されています。こちらも仕切りが小さいものと大きいものがありますが、バラを挿し木する場合は大きいタイプが良いでしょう。
セルトレイにバーミュキュライトを敷き詰めたら上からジョーロのシャワーヘッドを使い全体にまんべんなく水をかけ濡らしておきましょう。
発根促進剤「ルートン」をつけ土に挿す
土にそのまま挿し穂を挿すより、発根促進剤である「ルートン」を切り口に付けてから挿した方が圧倒的に根の活着がいいです。
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かつて私がローズマリーの挿し木実験をした際にも「ルートン」を付けた挿し穂から太くて丈夫な根が出ました。
⇒【根が出ない!】あなたがローズマリーの挿し木に失敗する理由
切り口にルートンを付けたら、濡れているバーミュキュライトに割りばしで穴をあけてから挿し穂を挿します。
いきなりズボッと挿し穂を土に挿す人がいますが、それだとせっかく切り口に付けたルートンが取れてしまったり切り口を傷めるのでやめましょう。
割りばしで開けた穴に2~3㎝の深さで挿し、周りの土をかけて固定します。
雨風の当たらない半日陰で管理する
挿し木が失敗してしまう理由は
- 水やりが多すぎる
- 乾燥させすぎる
- 温度・湿度が適してない
- 雨風に当たり挿し穂がずれた
- 挿し穂自体に力がなかった
- 品種によるもの
などがあります。
基本的に雨風の当たらない半日陰か室内の窓辺(真夏は不可)に置き、土が湿っている状態が良いです。
ただじゃぶじゃぶに濡れすぎていると挿し穂が腐ることもあり、理想的なのはたっぷり水をあげ、土が半乾きくらいになってきたら水をあげるのが良いです。
室内の窓辺で管理する場合は、受け皿置き、下に少し水が溜まるようにしておいても良いです。
写真のステンレス角バットはキッチンコーナーで販売されていますが少々高いのが難点。受け皿であれば鉢皿でもなんでもOKです。
鉢上げ
セルトレイに挿した挿し穂から新芽が出始めたら挿し木は成功した証です。だいたい挿し木をしてから1か月半で根がでます。
発根したかどうかを確かめるには1か月半程経過したあと、挿し穂を少し引っ張ってみて根が土を掴むように抜けにくい感じがしたら根は出ています。
根はいきなり切り口から出るわけではなく、「カルス」と呼ばれる植物細胞のぼこぼこした白い塊が出来てそこから白根が出てきます。
いずれにしろ発根を確認したら3号~3.5号のビニールポットに植えます。この行為を鉢上げ(はちあげ)といいます。
挿し穂が真っすぐになるように植え、不安であれば割りばしなどで横に支えをしてあげるといいでしょう。
根が出たからといっていきなり5号鉢(直径15㎝)以上の大きい鉢に植えてしまうと挿し穂の水分吸収力に対して水をあげたときの鉢内水分量が多すぎるため挿し穂が枯れます。
挿し木から3カ月経過後、新芽が伸びた
もうここまでくれば根もガッチリついており赤っぽい新芽からグリーンの葉がどんどん出て茎も伸びていきます。茎が斜めにならないように真っすぐ植わっていることが大切です。
水やりの管理は鉢土が乾いたらたっぷり与え、与え過ぎないようにしましょう。ビニールポットに根が回り苗がしっかりしてきたら次は1周り大きい4号~5号鉢に植え替えます。
実験結果
今回の実験では試した品種によって以下のような成功率になりました。
今回挿し木のスタートは6月14日、発根して鉢上げしたのは約1か月半後の7月29日、新芽がぐんぐん伸びているのは約3か月後の9月7日でした。
各品種を10本ずつ試し最終的に成功したのは
- オレンジジュース・・・4本
- カラルナ・・・8本
- ヤギグリーン・・・3本
- ラロック・・・1本
このように鉢上げする前に枯れてしまったものも多かったです。やはり、必ずしもすべての挿し穂が上手く発根するとは限りません。
「ラロック」のような当然変異によって生まれた変わり咲きの品種などは性質的に弱いのではないかと思われます。
品種名 | オレンジジュース | カラルナ | ヤギグリーン | ラロック |
日付 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
6/14 | 10本 | 10 | 10 | 10 |
7/29 | 4 | 8 | 4 | 2 |
9/7 | 4 | 8 | 3 | 1 |
成功率 | 40% | 80% | 30% | 10% |
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は初心者でも簡単に成功確率を上げるバラの挿し木方法と育て方についてご紹介してきました。
現在公開されているサイトでここまで詳細に書かれているものはありません。
記載したデータは実際に私が実験して得た信頼できるデータですので、初心者のあなたでもバラの挿し木に成功する確率は高いと思います。ぜひ参考にして頂いて試してみてください。
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