チマサンチュの育て方|プランター栽培で初心者がベランダで収穫できる方法
「チマ・サンチュ(치마・상추)」という名前は知らなくても“焼肉の葉っぱ”と言えば誰もがイメージすることができるのが「サンチュ」です。
リーフレタスよりも柔らかく、スーパーマーケットでも焼き肉を巻く専用野菜として販売されています。
そんなサンチュですが、家庭菜園初心者、特にベランダのプランター栽培でも驚くほど早く簡単に収穫できます!
この記事では初心者向けの栽培方法として「サンチュの苗」から栽培する方法を、実際に私が育てたオリジナル写真と栽培手順・記録をたっぷりと詳しくご紹介します。
もくじ(タッチすると移動します)
チマサンチュの栽培基本データ
チマ・サンチュとは韓国語で(치마・ 상추)と書きます。
- 치마(チマ)・・・スカート (巻きスカート=女性が穿くスカートのこと)
- 상추(サンチュ)・・・レタス
つまり、チマ・サンチュとは「スカートレタス」という意味になり、肉を巻いて食べる様子からこの名前が付いています。
チマ・サンチュはリーフレタスの仲間で葉が大きく展開し柔らかいのが特徴です。
育て方はリーフレタスと同じになるためリーフレタスの育て方|プランター栽培で初心者が収穫できる方法【栽培手順と記録】もご覧になっておくと理解がさらに深まります。
科名 | キク科 |
原産地 | 中近東内陸、小アジア |
食用部分 | 葉 |
生育適温 | 15~20℃ |
発芽適温 | 15~20℃ |
スタート方法 | タネ、苗 |
株サイズ | 幅25~30㎝ 高さ25~30㎝ |
病害虫 | アブラハム、ヨトウムシ、軟腐病、菌核病 |
チマサンチュの栽培時期と収穫までの流れ
サンチュは全国どこでも春と秋の年2回収穫することが出来ます。
春先から栽培する場合は2月から苗が販売され、秋口から栽培する場合は8月くらいから出回ります。
地域 | 植付け | 収穫 |
中間地(関東甲信・東海・近畿・中国・九州北部) | 3月下旬~5月上旬 | 5月上旬~6月下旬 |
9月初旬~10月中旬 | 10月中旬~11月下旬 | |
北海道・東北 | 4月下旬~6月上旬 | 6月初旬~7月初旬 |
8月中旬~9月中旬 | 9月中旬~11月上旬 | |
四国・沖縄・九州南部 | 3月中旬~4月下旬 | 4月下旬~6月中旬 |
9月下旬~10月下旬 | 10月下旬~12月初旬 |
寒冷地・中間地・暖地の区分
中間地・・・関東甲信、東海、近畿、福井県、中国、九州北部
暖地・・・・四国、九州南部、沖縄県
用意するもの
- 苗
- 培養土(肥料配合済み)
- 鉢底石(排水システムがあれば不要)
- プランター 幅65㎝×奥行20㎝×深さ20㎝ 容量15~20ℓなど
チマサンチュの栽培手順と記録
チマサンチュを栽培する方法にはタネからと苗からの両方がありますが、初めて栽培する方や早く安く収穫したい場合は「苗」を購入し栽培スタートすることをおすすめします。
なぜかというと、農家さんのように広大な土地に大量に栽培し出荷したりあるいは、趣味の実験としてタネから育てるなどを除くと「苗」から育てた方がわずか半月~1ヶ月以内にある程度の大きさの葉と量が収穫できるからです。
苗選び
■苗選びのポイント
- 本葉が4~6枚くらい付いているもの
- 葉が破れておらずきれいなもの
- 病気・害虫の被害に遭っていないもの
チマサンチュの苗はホームセンターにいくとリーフレタスやキャベツなど葉物野菜コーナーで販売されていることが多いです。
葉が柔らかい性質を持っているため以下のポイントなどに注意して苗を選んでください。
横から見ても株がしっかりしているのを確認しましょう。
上からみても病気や害虫被害に遭ってなく葉がきれいなものを選びましょう。
プランターと土の準備
プランターにはどのような種類があるのかはプランター選び方|野菜を栽培する家庭菜園初心者に教えますにて紹介しています。
リーフレタスの栽培方法と同じく、チマサンチュはそれほど深く根を張らないためプランターの深さは20~30㎝程度でOKです。
葉が広く展開するため、1株植える場合、小さいプランターよりは直径30㎝ほどの大きさのある野菜栽培用のプランターがおすすめです。
参考までに適切なプランターサイズを挙げておきます。
- 幅65㎝×奥行20㎝×深さ20㎝、容量15~20ℓのイチゴ栽培や草花栽培用・・・2~3株植え可能
- 幅60㎝×奥行30㎝×深さ30㎝、容量22ℓ程度の野菜栽培用・・・2株植え可能
- 1株だけ植える・・・直径40㎝程度のもの
苗の植え付け
苗を植え付ける前の準備はプランター野菜の植え方|家庭菜園初心者が出来る手順と方法をご覧ください。
準備が終わったら、チマサンチュの苗を植え付けます。
このときに、株の根本の土とプランター内の土が水平になるように植えて下さい。
株の根本が隠れてしまうほど多く土を盛ったりすると、蒸れや水やり時の土の跳ね返りによる病気の発生原因になります。
そして植え付けてから15日後、約半月でこのくらいまで成長します。
外側の葉から収穫できますがもうちょっと育ててみましょう。
防虫ネット
チマサンチュを育てる際は必ず防虫ネットを被せて栽培することをおすすめします。
写真はだいぶ成長してからですが、苗の植え付けと同時に防虫ネットを被せると良いです。
チマサンチュを含む結球レタス・リーフレタスなどの葉物野菜は、ヨトウムシなどの好物でとても小さいため気付いた時には葉が穴だらけになっていることがよくあります。
チマサンチュは比較的防虫ネットをかけなくても被害に遭いにくいのですが、全く被害がないきれいな葉を作るにはかけておくに越したことはないです。
プランター栽培の防虫ネットの取り付けはプランターに被せるだけ。とても簡単で、袋状になっている防虫ネットと、しばるヒモがセットになっている商品も販売されています。
水やり
まず、防虫ネットを付けている場合数日に1回は取り外して株元に水を与えて下さい。
チマサンチュの水やりは基本的に葉の様子を見ればタイミングがわかります。
プランターの土の表面が乾いていて、さらに葉が全体的にややしんなりとしてきたら水が不足している証拠です。
鉢底から水がたっぷりと出るまで与える、乾いたら次の水やりのタイミングの繰り返しになります。
反対に、プランターの土の表面は黒く濡れて湿っているのに、葉が全体的にしんなりしているのならそれは水の与え過ぎ。
根が傷んできている状態です。このままさらに水を与え続けると根が腐り枯れます。このような場合はプランターを傾けて底に溜まっている水を流し、日の当たる場所に移して土を乾かします。
病害虫対策の水やり
基本的に水やりをするときは数日に1回は防虫ネットを外して水やりをして下さい。
毎日外して観察しても良いのですが面倒なので、普段はネットを被せたまま株元へ水やりをしても良いです。
株元に水を与えるのが原則なのですが、汚れを落としたり、葉の表裏の乾燥による病害虫の発生予防のために、株全体にジョウロのシャワーあるいは霧吹きなどで水をかけてあげましょう。
専門用語で「シリンジ」と呼びます。
害虫対策
苗の植え付けと同時に防虫ネットを被せるのが害虫対策の基本です。
そしてそれでも防虫ネットのかけ方があまいと、すき間などから害虫が入ってきたり、あるいは土の中に潜んでいることで気付かないうちに食害されることも多々あります。
代表的な食害中であるヨトウムシは“夜盗虫”と書く通り、夜に活動して日中は葉裏や土の中、プランターの下など周辺に隠れているため日頃から観察していないと初心者の場合、見つけにくいです。
ヨトウムシなどの害虫は割りばしなどで挟んで捨てるか、あるいは虫嫌いな方などそんな勇気はない場合、野菜栽培用の殺虫剤散布をして対策します。
殺虫剤にも種類がありますが、基本的に家庭菜園で使えるタイプは収穫時に人が食べても安全なレベルのものです。
もし、出来る限り無農薬を目指すのであれば天然由来成分の殺虫剤がおすすめです。
ヤシ油やデンプンの粘着性を利用して害虫駆除するしくみです。
病気対策
チマサンチュは苗の植え付けから収穫までが半月~1ヶ月程度で出来るため、病気にかかる前に収穫できるケースが多いです。
ミニトマトやナスなどは栽培期間が長ければ長いほど病気にかかる確率も高いため、事前事後の病気対策が必須なのですが、チマサンチュは収穫までの時間が早いためそれほど神経質に病気対策をしなくても大丈夫です。
ただ、植え付け時の培養土が古かったり、細菌やウイルスが混ざったいたりする場合は栽培初期から病気が発生することもあります。
なるべく新しい用土で日当たりいい場所、適切な水やりをし、病気にかかる前に収穫することを目指すと良いです。
追肥(ついひ)
追肥(ついひ)とは栽培途中に追加で肥料を与える作業のことですが、一般的に利用する肥料配合済みの野菜用培養土などを使えば1ヶ月程度は追肥などはしなくてOKです。
株ごと全て収穫してしまう場合はそれで終了ですが、「かき取り」とって大きく育った外側の葉から順番にかき取っていく収穫方法をしたのちは、液体肥料を水やりを兼ねて2週間に1回ペースで与えると良いです。
しばらくすると新芽が出てきてしばらくの間収穫を続けることが可能になります。
具体的なやり方は液体肥料の与え方-野菜の追肥を初心者向けに画像解説!をご覧ください。
収穫
チマサンチュはリーフレタスの仲間ですが、私の栽培経験に基づく肌感覚として一般的なリーフレタスよりもチマサンチュの方が成長が早い気がします。
葉が柔らかいせいなのかなんなのかは分かりませんが、葉だけでなく株全体として大きく展開するのが早いですね。
ですので、家庭菜園で栽培するのであればまとめて株ごと収穫するよりも、大きくなった外側の葉の付け根を株の根元からハサミあるいは手でポキッと折り取り収穫しましょう。
株元を手で押さえます。
切り離します。
ボールなどを用意しておくと良いですね。
かき取った後の収穫した株です。
また脇から新芽が出てきます。
調理
チマサンチュの調理といっても使うのはほぼ焼肉を巻くときですね。
きれいに洗った後、キッチンペーパーで軽く水を拭き取っておくと、びちゃびちゃしなくてすみます。
実際、私もチマサンチュを使ったのは自宅で焼き肉をしたときでした。
カルビやロース、タン、ハラミなど何でも合います。
ジューシーなお肉が引き立ちますね!
チマサンチュの特徴は葉が柔らかいのでこのように巻ける点です。
食感柔らかく、スーパーで売られているものと同じです。
ちなみに下写真のチマサンチュは市販のもの。どうでしょうか、自宅で栽培収穫したチマサンチュと比較してほぼ同じですね。
いつまでできる?かき採り収穫の目安
チマサンチュの葉を少しずつかき採りながら収穫する場合は、だいたいどのくらいまで収穫できるのか?というと、
茎が高く伸びすぎる前までです。
とう立ちといって花芽をつける準備をしだすと急速に葉が硬く苦くなって食べられなくなります。
とう立ちについては>>リーフレタスが硬い苦い4つの理由【とうだち】等を画像で徹底解説を参考にして下さい。
また以下の写真をご覧ください。
高温多湿になったことで茎が腐って枯れました。
レタスの仲間であるチマサンチュも例外なく冷涼な気候を好むため、収穫時期が過ぎるとこんな風になることもありますので、適期を逃さず収穫し、すぐに株を処分しましょう。
こういうのを放置しておくと病気発生の原因になります。
チマサンチュのプランター栽培のコツ
- 成長サイズを考えて1鉢に何株も植えない(1~3株)
- 通常の水やりは土が跳ねないように株元にやさしく与える
- 病害虫予防も兼ねてたまにシャワーで上から水やりをする
- 防虫ネットをかけると尚良い
- 追肥をする
家庭菜園やベランダ菜園など栽培できる野菜はたくさんありますが、リーフレタスよりも少しマイナーなチマサンチュ。
クックパッドなどのレシピサイトを見るとチマサンチュと豚肉のオイスターソース炒めなど美味しそうな料理がたくさんありますが、キャベツやレタスのような野菜と比較すると普段あまり馴染みのない野菜なので、どうしても家庭菜園でも栽培順位は下になります。
しかし、苗の植え付けから収穫までがとても早く超初心者向けの野菜なので、お肉料理を多くされるご家庭であれば重宝すると思います。
お子さんでも簡単に育てられるのでぜひ参考にしてもらえると幸いです。
リーフレタスの育て方については>>リーフレタスの育て方|プランター栽培で初心者が収穫できる方法【栽培手順と記録】をどうぞ。
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