取り木の仕方と時期|アルテシマゴムの木で写真解説!1ヶ月で発根させるコツ
取り木スタート4/25⇒切り離し6/1。
なんと約1ヶ月で取り木に成功しました!今回は私が実際に取り木を行った全工程を写真つきで詳しく解説したいと思います。
取り木したアルテシマゴムの木(Ficus altissima ‘Variegata’)を使って説明します。
もくじ(タッチすると移動します)
剪定(せんてい)も兼ねた取り木とは
- 剪定(せんてい)・・・樹勢を整えるために茎や枝を切ること。
- 取り木(とりき)・・・茎や枝に傷をつけて発根させる繁殖方法。
剪定や取り木はアルテシマゴムの木など観葉植物に限らず梅や桜の樹木などでも行われる作業です。
よく盆栽や庭木の松の木がきれいに形作られているのを見かけますが、あれは剪定によるものです。
重なっている枝を切ったり混み合っている枝を間引くなど木が成長しやすい状態に整える、風通しを良くして病害虫対策をする、見栄えを良くするなどの目的があります。
一方、取り木とは基本的に繁殖方法の1つで根が付いている植物の一部からさらに発根させます。失敗が少なく、小さい茎から根を出せる挿し木(さしき)と違い、1~2ヶ月程度で大きな株が作れるメリットがあります。
丈が長くなり過ぎて天井に届きそうになってしまった場合や、下葉が無くなって上の方だけ葉があり見た目が格好悪くなったときに、切るだけなら剪定(せんてい)になりますが、ついでに子株も増やしたいなら剪定も兼ねた取り木がおすすめです。
取り木の適切な時期
取り木をするのに適当な時期は5~6月、10月です。
取り木だけでなく挿し木や植え替えなどは植物が成長する春から夏にかけて行うことがベストです。
盛夏や真冬は成長が緩慢(かんまん)になるので、根もあまり育たず無理な植え替えなどをすることで回復できずに枯死してしまう可能性が高まります。
用意するもの
- ミズゴケ
- ビニール袋
- カッターなど
- ハサミ
- ひも(ビニタイ、麻ひも、ビニール紐なんでも可)
- ビニール手袋
取り木の作業手順
では、早速アルテシマゴムの木を使って取り木の仕方手順と流れを丁寧に紹介します。
ビニール袋をハサミで切ってシート状にする
まず、少し厚めのビニール袋(ポリ袋)を左右ハサミで切り、ペラッとしたシート状にします。
そうするとこんな感じになるはずです。
環状剥皮(かんじょうはくひ)法で皮を剥く
取り木には表皮を剥く環状剥皮(かんじょうはくひ)※環状剥離(かんじょうはくり)と呼んでいる書籍もあります。
と舌状剥皮(ぜつじょうはくひ)の2方法がありますが、ポピュラーな環状剥皮を使って取り木に挑戦したいと思います!
アルテシマゴムの木はクワ科の植物なので幹に傷をつけると白い樹液が出てきます。大昔はこの樹液を天然ゴムに利用していました。
で、この白い樹液は人によっては手が痒くなったりかぶれることがあるので、必ずビニール袋などをして作業しましょう。
まず、親木から切り取りたい部分の下で、カッターかナイフで縦方向に2㎝(幹の直径1.5~2倍くらいの長さ)深さ1~2㎜ほど浅く切り込みを入れます。
次に縦方向に切り込みを入れた上部と下部にそれぞれ横方向から幹に一周ぐるりと切り込みを入れます。この時にやりにく場合は鉢を少しずつ回しながら切り込みを入れるか、もしくは自分が移動しながら切り込みを入れます。
もしくは、先に表側だけ長方形に切り込みを入れてしまい、皮を剥がしてから裏側も同じく長方形に切り込みを入れてやるなど、いっきにぐるりと剥がす必要はなく、ちょっとずつ剥ぎ取っていっても構いません。
切り込みを入れた部分の皮をむいて幹から剥がして下さい。
無理をしてこの時にグッと深く切り込みを入れすぎて枝を切り落とさないようにして下さいね。
ミズゴケで包む
黄色味がかった切り口(木質部)が露出するようにしたら、今度はミズゴケで包みます。
バケツにミズゴケを浸し、吸水させたらこぶし大の量を手に取ります。
巻くときはびちゃびちゃだとやりにくいので軽く水を絞って下さい。
ミズゴケを切り口に押し当ててお団子みたいにして包みます。
次に少しやりにくいと思いますが、先程用意したビニール袋で上から包みます。
ビニール袋の上下をひもなどで結びます。ビニタイなどひねるだけで固定されるような資材だと作業がしやすいです。
この時に下をきつく縛り、上は少しゆるめに縛ります。
なぜ上をゆるめにしばるのかというと、ミズゴケが乾かないように途中で水やりをするためです。
以上で取り木の作業は完了です。
置き場所と水やりのタイミング
直射日光が当たらないレースのカーテン越しなどの場所で管理します。
発根するまでの1~2ヶ月くらいは、ミズゴケが乾かないように水やりをする必要があります。
やり方はジョウロ、コップなどでビニール袋上部のひもを少し緩め水を注ぎます。
または、ビニール袋上部側面にカッターナイフ等で小さい穴を空けてそこからジョウロの先端を入れて水を注入する方法もあります。
ミズゴケが乾きやすいので、毎日チェックし常に湿っているようにして下さい。
ビニール袋下部に水が貯まるくらい水を入れても問題ありません!
パリパリに乾燥させないことが大切です。
発根・切り離し
1~2ヶ月くらい経つと、ミズゴケの間から白い根が出てきます。
どんどん成長するとビニール袋の上からでも根が何本も出ているのが分かるようになります。
発根を確認したら、発根している下の部分をカットします。
子株の植え付け
用意するもの
- プランター
- 培養土
- 鉢底石
さて、子株を植え付け手順です。
軽くミズゴケを取り除きます。
もし、根がグルグル巻きになってミズゴケがくっついて取り除きにくくなっている場合は、無理に取らなくてもOKです。
ミズゴケは取り除くと説明しているサイトもありますが、無理に取り除くと根を痛める可能性があります。
プランターに用意します。
鉢底石を1~2㎝程度入れます。鉢底石を入れる理由は排水性を高めるためで、特に取り木で発根した株の場合は通常の植え替えで行う株と違って、そこまでたくさん根がありません。
そのため鉢底石を入れてあげた方が安心です。
最終的に培養土をプランターの上から3㎝くらいまでの高さまで入れるのでそれに合わせて、
子株の株元と土の高さが同じ高さになるように穴を掘り、植えます。
軽く株元を押さえつけ、子株の背が高い場合は支柱を立てます。
支柱を立てなくても株がぐらつかないのであれば支柱は必要ありません。
以上が取り木の手順です。
取り木に失敗する原因とは?
ここで、取り木に失敗してしまう原因について解説します。
取り木に失敗する原因
- 時期が悪い
- 置き場所が悪い
- 乾燥させ過ぎてしまった
- ミズゴケの問題
- 剥皮の処理ミス
時期が悪い
まず、取り木には適した時期があることは冒頭でも説明しました。
取り木だけでなく、挿し木、植え替えなどの適期は5~6月、10月です。
なぜこれらの時期なのか?というと観葉植物の成長が活発な時期だからです。根がぐんぐん伸び多少、傷がつけられても、切られても、植え替えによって根が傷んでも回復力が早いからです。
一方、直射日光がガンガンにあたる真夏や気温が低下する真冬は成長が止まります。特に観葉植物の多くは高温多湿の熱帯雨林や乾燥した砂漠が原産地です。
取り木などをする際には、なるべく生まれ故郷の環境に近い環境の方が良いということです。
置き場所が悪い
日陰など全く光の当たらない場所や、直射日光が当たる場所では発根しにくいと言えます。
やはりレースのカーテン越しなど半日陰と呼ばれるくらいの日光は必要です。
乾燥させ過ぎてしまった
ミズゴケは常に湿った状態にしておく必要があります。
常に湿っていると根腐れしてしまうのでは?と思うかもしれませんが、それは通常の水やりの場合です。
ポトスやアイビーなどをコップの水に入れておくと発根します。
湿ったミズゴケを使うのはこれと同じ原理です。
うっかり水やりを忘れて乾燥させてしまうことはあると思いますが、それが何日も続いてしまうと茎が傷んで発根する力もなくなります。
ミズゴケの問題
ミズゴケは湿らせておくという話をしましたが、その他ミズゴケの問題として、古いミズゴケを使用したり、包む量が少なかったりすると発根しにくくなります。
ミズゴケは乾燥した状態で販売されているため消費期限はありませんが、例えば使い回したミズゴケよりは衛生的なミズゴケの方が良いです。
また、切り口包む量も大切です。こぶし大くらいのたっぷりした量のミズゴケで包みましょう。ケチって切り口が見えてしまうくらい少ないときれいに発根しません。
剥皮処理のミス
取り木をするためには環状剥皮(かんじょうはくひ)か舌状剥皮(ぜつじょうはくひ)処理をしなければなりません。
表皮の下にはすぐに薄緑色の形成層があり、その下の黄味がかった部分が木質部です。
この木質部から発根するので、しっかり表皮と形成層をきれいに取り除くことが大切です。
残したままにしておくと発根できる場所が少ないため出る根の量も少ないです。
取り木のポイントまとめ
- 時期を守る!5~6月、10月
- 半日陰で管理
- ミズゴケを乾かさない
- 環状剥皮をきれいにやる
今回、私が取り木でうまく行ったポイントを紹介しました。
取り木をスタートさせたのが4/25、切り離したのが6/1です。
約1ヶ月ちょっとで発根しました!
レースのカーテン越しに置いたアルテシマゴムの木を毎日観察し、ミズゴケが乾いていないかチェックしていました。発根後半になると吸水量が多くなりすぐに水が乾くようになりました。
今回は実験として根が十分すぎるほど回ってから株を切り離しましたが、ここまで激しく根が出る前にカットしても良いと思います。
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